お客様から酔い止め薬を求められ売り場を案内したところ、『アネロンニスキャップ』が良く効くと人から聞いたというため、そういう薬の選び方は好ましくないことをお話しした。
確かに『アネロンニスキャップ』には、鎮静成分と副交感神経を遮断する成分の他に、胃粘膜に作用する局所麻酔まで入っているので、効くといえば効く。
しかし、やっていることはいわば「身体機能を落とす」ことで反応を鈍くしているだけ。
乗り物酔いを防ぐという目的には合致しているが、人によっては効きすぎるともいえる。
また、薬は強い弱いだけでなく、個人の体質や体調にも左右されるので、成分表示を取っておくよう勧めたうえで、乗るのは船だということから役に立つと思われることを伝えて、『アネロンニスキャップ』をお買い上げいただいた。
同じ船でも、目的が魚釣りのためであるとか、自身が乗り物の運転をする場合には、眠気をもよおす現代薬は避けたほうが良く、漢方薬の『苓桂朮甘湯』や『五苓散』が候補となる。
前者は目眩(めまい)が出やすい人向け、後者は実際に嘔吐しがちな人向けである。
お客様が『ポケムヒ』をレジに持ってきたけれど、『プチウナ』と比較して処方的には痒みへの効き目が弱いと考えられることを伝えると、ご主人が釣りに持っていくというため、さらに抗炎症成分のステロイド剤が入った虫刺されの薬もあることを説明した。
すると「どれが良いか?」と訊かれ、目的によりますとお話したうえで、ステロイド剤が入っていて携帯もしやすい『プチウナコーワα』をお買い上げいただいた。
「説明されたの初めて」というので、他のお店で薬を買うときもまずは店員に相談してみるよう勧めた。
立ってる者は親でも使えという言葉があるが、店頭に立ってる登録販売者や薬剤師は遠慮無く使っていただきたい。