総合胃腸薬は、胃酸が出るのを抑える制酸剤と消化を助ける消化酵素が一緒に入っているカオスな処方

 お客様から『タイレノール』を求められ、お買い上げいただいたけれど、頭痛や喉の痛みに使っているというので炎症には弱いことを説明して、喉の痛みには『ペラックT』との併用を勧めた。
 それから、頭痛にもズキズキするタイプの偏頭痛や、締め付けられる肩こりと連動したタイプ、朝方に頭が重くて午後になるにつれ楽になるタイプなど種類があり、それらによっても適応する鎮痛剤や対処法が変わってくることも伝えた。
 ズキズキするタイプは胃の不具合と関係するから胃の負担が軽いとされるアセトアミノフェン製剤の『タイレノール』が向いていると考えられ、食事は消化しやすいものが良い。
 漢方薬では、『呉茱萸湯』『五苓散』などが候補となる。
 肩こりと連動した締め付けられるタイプは、上半身を温めて血流を改善するのが良いので『葛根湯』が候補になるし、鎮痛剤は末梢神経に作用するアスピリン製剤の『バファリンA』が効果的。
 朝方に頭が重くて午後に軽くなるようならば、血圧と関係すると考えられるるので、鎮痛剤を使うよりも初めから漢方薬の『釣藤散』『七物降下湯』を使った方が体にも良いだろう。
 こう考えると、鎮痛剤としてはイブプロフェン製剤や同系統の『ロキソニン』は、やはり万能なんだなと思ってしまう。

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 お客様が『第一三共胃腸薬』を人から頼まれたというのだけれど、誰が使うのか教えてもらえず、患者がどんな症状かは分からないというので、売って良いものか迷った。
 『第一三共胃腸薬』に限らず総合胃腸薬は、胃酸が出るのを抑える制酸剤と消化を助ける消化酵素が一緒に入っているという、わりとカオスな処方内容なので、症状に合わせた薬選びも重要なことを伝えたうえでお買い上げいただいた。
 また、胃の症状を簡易的に鑑別する方法として、お湯を飲むと水を飲むのとでは、どちらが楽になるのかを確かめるというのを教えた。
 お湯を飲んで楽になるようならば、胃が冷えているか疲れていると考えられ、健胃剤の入っている胃腸薬がお勧め。
 水を飲んで楽になるようであれば、胃炎を起こしていたり胃熱の状態なので、制酸剤が入っているか胃の内壁を保護する成分の入っている物が望ましい。
 お客様は、「伝えてみます」とのお返事だった。

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