家族で同じ病院を受診して個人情報を共有してもらうのも、病院の上手な使い方

 高齢のお客様から『デルモゾール軟膏』を求められたけれど、病院の処方薬のため同程度のステロイド剤に殺菌剤も加えた物として『フルコートf軟膏』を案内して、お買い上げいただいた。
 軟膏はベタつくのを嫌がる患者さんもいるけれど、服と擦れたりしないよう患部を保護するのが目的なので、あのベタつくのが大事なんである。
 クリーム剤はというと、人間の皮膚は案外とバリヤー機能が高く成分を浸透させるのが難しいから、そのバリヤーを破って浸透させるのに向いている。
 そのため、患部が複数箇所に点在している場合、患部の位置と患部の状態によって、同じ薬の剤形違いを使い分ける場合もある。

フルコートf

 やや高齢のお客様から滋養強壮剤の『ビイレバーキング』を求められ、うちの店には置いていないためヒアリングしたところ成人の息子さんが仕事でイライラしている様子だというので、『ヘパリーゼプラスII』を紹介した。
 滋養強壮剤というと、スッキリシャッキリ元気になる物と思うかもしれないが、実は大別すると2種類あり、カフェインなどで「体をビックリ」させて「元気になったと錯覚する」タイプと、ハッキリした効果は感じられなくても実際に体を支えるタイプとがあり、『ビイレバーキング』や『ヘパリーゼHP』は後者に当たる。
 息子さんは寝付きが悪いと言うため、肝臓の働きが亢進している場合に適応する『柴胡加竜骨牡蛎湯』『抑肝散加陳皮半夏』なども紹介した。
 寝てもウツラウツラと意識があって寝た気がしない場合は、胃腸機能の低下が考えられ『桂枝加竜骨牡蛎湯』『加味帰脾湯』が候補になり、特にタクシーの運転手や看護師といった夜勤の患者さんに重宝されている。
 私は中途覚醒しやすく、これは腎臓の影響によるものなので『牛車腎気丸』『八味地黄丸』、あるいは疲労を伴う場合『知柏地黄丸』の『サモンエース』が候補となる。
 いずれにせよ、不眠対策は家庭環境や仕事の内容など、極めて個人的な領域にまで踏み込まないと適応する薬を検討するのは難しいから、本当は本人に来店してもらうのが最善。
 お客様の息子さんの場合は、最近離婚したばかりで、以前に精神科に通院していたという話も伺った。
 そして医師から病名を付けられそうになったため行くのやめたというので、内科医は精神科の知識は少なくても精神科の医師は内科的なことは基礎知識として持っているはずなので、それは「モッタイナイのでは」とお話しした。
 すると、自身は心臓を患ったことがあり、ご主人も同じかかりつけ医に診てもらっているのに、医師には家族であることを明かしていないというから、個人情報は開示した方が良いと勧めた。
 まぁ、住所などの情報があるから医師は気が付いてるかもしれないけれど、同じ環境で生活しているというのは重要な情報であるから、医師とはそういう話も共有した方が良い。
 それから、息子さんには自分が使っている『敬震丹』をあげたそうで、処方の内容としては適応すると考えられるものの、家族だからといって薬を分け与えるのは好ましくありません、と付け加えた。

サモンエース

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