やや高齢お客様が、ご主人から『太田胃散』を頼まれたとのことで、他の薬は飲んでないことを確認したうえで販売した。
そして、何か他の薬を併用する時には店頭で相談するよう伝えた。
昔ながらの薬だから使ってる人が多いが、含まれている成分は血圧に影響したり腎臓に負担がかかったりするから、歳を取ってきて若い頃の感覚で服用を続けていると問題が起きる可能性が高まってしまう。
また、他の薬の効果を落としてしまうようなことがあるから、病院で処方された薬があれば担当医には使って良いか確認が必要だ。
家族だと気軽に薬の買い物を頼んだり頼まれたりというのが普通だろうけど、可能な限り自身で買い求めに来てもらいたい。
なにより、本人に知ってもらいたいので。
お客様から『命の母A』を求められたけれど、『命の母ホワイト』との違いを説明するさいに『当帰芍薬散』も紹介したところ興味を持たれた。
『命の母A』は鎮静作用のある生薬の種類が多く、気持ちが昂ぶったり不安感が強い場合に適応するのに対して、『当帰芍薬散』の処方構成に近い『命の母ホワイト』は肉体的な疲労に向いている。
お客様の主訴は朝方のむくみで、お酒が思い当たるようだったため水分代謝を改善する『五苓散』と、水分代謝の異常に疲労感も伴う場合の『防已黄耆湯』を紹介した。
お客様は疲れがあるとのお話で、声が弱々しかったことから『当帰芍薬散』を勧めて、お買い上げいただいた。
ただ、神経質そうな感じもあったので『命の母A』も適応しそうな感じだったから、迷うところだ。
人間の体は機械と違い、同じ対処が同じように効果を現すとは限らず、薬を使ってみないと分からないというギャンブル的な要素がある。
その勝率を上げるための努力はしているつもりだけれど……。