カップルのお客様が『新トニン咳止め液』を2本レジに持ってきたけれど、まとめ買いはできないことを説明して1本のみを販売した。
女性の方の目が虚ろで、風邪のせいなのか薬物依存症なのか判断しかねる。
薬物依存症の場合、他のお店を梯子しなければ良いのだけれど。
本当に風邪だとすれば、咳止め薬としては「全部入り」だから、その分だけ体への負担が大きく連用してしまうと、かえって咳の原因となってしまうため、他の薬への乗り換えを案内したいところ。
しかし初見では、なかなか深くまで踏み込めない。
厚生労働省からの通達で販売数を制限をしているけれど、他のお店を含めて購入履歴を管理できなければ濫用を防ぐことなどできないし、風邪にしろ薬物依存症にしろ、治療につなげる手立てが無いのが現状。
お客様から、手を消毒する物をと求められ『メディスコール』と『手ピカジェル』を案内すると、前者を購入された。
冬には『クレベリン』を使っていたというため、空間除菌は無意味なので手洗いと手の触れるところの拭き掃除が効果的なことをお話した。
一応メーカーは実験による効果を強調しているけれど、それは「人の出入りしない密閉空間」の話で、生活空間での効果は分からないうえ、二酸化塩素が本当に空間の除菌をできる濃度レベルだと人間の方も取り除かれてしまうはずだし、健康に問題が無いというのであれば、その程度の濃度だから無意味となる。
知り合いの薬剤師さんなどは、スティックタイプを胸ポケットに入れてる薬剤師がいたら、科学知識が少ない証拠だから気をつけたほうが良いとさえ言っていた。
この手の商品を購入するさいに参考になるのは、「消毒」あるいは「殺菌」の表示があるかどうかだ。
この2つの用語のどらちかを商品に表記するためには、厚生労働省の認可を受けなければならない。
認可を受けるためには、当然のことながら検査が必要となる。
効果が立証できないか、費用がかかるのを避けるといった、なんらかの理由があって書けない商品は、「除菌」とか「洗浄」というような言葉に逃げるんである。
その点から考えると、赤い箱で有名な石鹸の『ミューズ』は「殺菌・消毒」と書いてあり、わざわざ認可を受けているのだ。
それはつまり、怪しげな除菌グッズにお金を使うより、手洗いのほうが効果的という証明でもある。
ショックな話をしてしまったのか、お客様が意気消沈した様子だった。
もう少しオブラートに包んだ言い方にすれば良かった。
申し訳ない(´・ω・`)