打撲や捻挫をしたら、なぜ最初に冷やす必要があるのか? 人間の危機管理機能が関係しています

 お客様から火傷(ヤケド)の相談を受け、湿潤療法の『ハイドロコロイド絆創膏』を使っているものの、患部が痛くて水疱が破れているというため、痛みを抑える『メモA』か感染に備えて抗生剤を使ってみてはと提案した。
 もしくは、ステロイド剤と抗生物質を合わせた『クロマイP軟膏』を使うという方法も考えられる。
 ステロイド剤は、炎症を抑える力が強い一方で皮膚の再生を阻害し、感染に対しても免疫機能を低下させてしまうから、抗生物質と組み合わせることで補うのだ。
 今回は、消毒薬である『オロナインH軟膏』と普通の絆創膏に乗り換えることになり、お買い上げいただいた。
 お客様には、痛みを我慢するのは疲労につながり、疲労すると風邪など他の病気になってしまう可能性もあるので、我慢も良くないことを伝えた。

 膝を打撲したお客様から相談を受け、インドメタシン製剤の『バンテリンクリーム』を勧めて、お買い上げいただいた。
 皮膚疾患と同じく、打撲や捻挫といった急性で強い症状には、最初に強い薬を使って、症状が軽くなるに従って薬も弱い物に乗り換えていく、「ステップダウン療法」が適している。
 お客様に、初日の今日は氷水でまず冷やしてから、薬を使うようお話した。
 打撲や捻挫をすると、体の方は異常を脳に知らせるためにプロスタグランジンなどの痛みの伝達物質を患部に作り出す。
 もし痛みが無いと、人間は自身が怪我した事に気付かず死んでしまうから、そのこと自体は必要だけれど、人間の身体は機械ではないのでその量を上手く調節することができず、痛みの伝達物質を必要以上に作り出してしまうため、できれば生産量を抑えたい。
 その方法の一つが氷水で患部を冷やすことであり、強烈に冷やすことによって血流や細胞の活動をわざと悪くし、痛みの伝達物質の生産を抑えるんである。
 お客様には、痛みが一週間以上続く場合には、ヒビや骨が浮いている剥離骨折などの可能性もあるので、使い始める今日のことをカレンダーなどに印をつけておくように勧めた。

バンテリンコーワクリームEX

 子供を連れたお客様が、虫刺されと虫除けの棚で迷っていて、『ポケムヒ』をレジに持ってきたので、『プチウナ』との比較を説明したうえで、購入を決めていただいた。
 一見似ている薬だが、副作用のリスク区分では『ポケムヒ』が第3類医薬品なのに対して、『プチウナ』の方は第2類医薬品であり、その違いは共通している痒み止めの他に『プチウナ』には、ごく弱い局所麻酔の成分が足されている分だけ、痒みに効果的。
 それを踏まえたうえで、『プチウナ』ではなく『ポケムヒ』を選ぶのであれば、それで良いと思う。
 問題は何も知らずに、感覚だけで選んでしまう事だろう。
 虫刺されの痒み程度であれば構わないとも思うが、その感覚で風邪薬などリスクの高い薬を選ぶお客様も少なくないから、こういったところで情報提供して、似た薬にも違いがあるという事を知ってもらいたい。
 お客様には、他に虫除けについて、主成分であるディードの濃度により、医薬品か医薬部外品かが決まることを説明すると、ディート8%で医薬部外品の『虫よけミストパウダーイン』を一緒に購入された。
 そして、虫除けスプレーは吹き付けるだけでなく、掌に出して手足など服から出ている部分に塗るよう勧めた。
 でないと、薬剤を吸い込まないようにと息を止めて体に吹き付け、服の表面にしか薬剤が残らないなんてことになり、虫除けの効果を充分に発揮できない。

プチウナコーワ

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