薬は銘柄にこだわって探し回るより、その場で購入したほうが吉

お客様から結膜炎の目薬を注文され、患者である子供も連れてきているというため、別の売り場に行ってるのを呼んでもらいヒアリングすると、今朝からのことで、痒いというよりは痛いという。

人間には痒みを感じる神経は無く、痛覚神経が弱い痛みを痒みとして感じている事からすると、痒みを通り越しているというのは良くない状況である。

ただ、明日には病院に連れて行くというため、開封したら1ヶ月以内に使わなければならない瓶タイプよりも、使用期限の日まで保管できる分包の『抗菌目薬i』を案内して、お買い上げいただいた。

そして余計なことながら、今後も薬の購入をされる時には寝込んでいるとか特別な事情がない限り、本人を連れて来ていただくようお願いした。

例えば咳があるという場合でも、咳の音は乾いた感じなのか湿っているのか、吸ったり吐いたりするのも息苦しいのか、咳が激しくなる時と楽になる時の時間帯は決まっているかなど、本人がいた方が確認しやすいことを説明した。

今日のように、せっかくお店まで一緒に来ているのに、肝心の薬を買う時にいないのでは困ってしまう。

お客様から『メンソレータムメディカルリップ』を注文され、うちのお店には置いておらず、用途は口角炎というため『口内炎軟膏大正A』を紹介したけれど、頼まれ物というので近所のドラッグストアーに問い合わせて案内した。

お客様には、指定の銘柄を足で探すのは難しいので、成分で選んだほうが良いことを伝えた。

薬は使って良い成分が決まっているから、そんなビックリするほど優れた薬という物は存在しない。

もちろん、珍しい組み合わせで代わりの製品が存在しない薬というのもあるにはある。

漢方薬がそうだし、『養命酒』なんかもそうだろう。

薬酒は珍しくないが、『養命酒』が生薬を酒に漬け込んでいるのに対して、他の薬酒の中にはアルコールを後から足している物があり、生薬の溶け出し方が違うという。

とにかくそういうのは例外で、お店の売り場面積は限られているから、似た処方の薬があれば、わざわざメーカー違いで揃えておいておくような非効率的なことはしない。

目的の症状に合わせた成分さえ入っていれば、銘柄にこだわって探し回るよりも、その場で購入したほうが早く症状を軽減できるというもんである。

お客様が『センパアプチベリー』と『ビオフェルミン止瀉薬』をレジに持ってきたさいに、口内炎の相談を受け、パッチ薬を求められたので『口内炎パッチ大正クイックケア』と『トラフルダイレクト』を強めの薬で同じ成分として案内し、症状が軽く患部の修復に向いている『口内炎パッチ大正A』も紹介した。

すると、お客様は以前に『口内炎パッチ大正A』を使って効かなかったそうで、今回は『口内炎パッチ大正クイックケア』を選ばれた。

同じパッチタイプでも成分が違えば効き方が違うから、こうして買う前に相談してもらえれば良かったかもしれない。

ネットなんかの体験談で「効かなかった」と書き込まれている薬があったとしても、本当に症状に合っていたのか、正しい用法・容量で使っていたのかが分からなければ、なんの参考にならない。

他に、『センパアプチベリー』が酔止め薬としては比較的眠くなりやすいことを伝えると、少し眠くなりにくい『トラベルミンチュロップレモン』も一緒に購入された。

使い分けてとしては、必ず酔ってしまうのであれば、いっそ寝てしまった方が良いだろうし、旅行などで寝てしまったらモッタイナイという時には眠くなりにくい方を使うのが良いだろう。

まったく眠くなる成分の入ってない、漢方薬の『苓桂朮甘湯』を使うという方法もある。

お客様には、中学生と下の子供がいるというので、乗り物酔いへの対策を教えた。

具体的には、腸が体温より低い物を受け付けないので、乗る前の食事を軽い物にしようと果物やサンドイッチなどを選ぶと、温まるまで胃に長く留めておくことになり、胃は上部に物を溜める構造になっているため、吐きやすくなる。

だから、温かいスープなどにすれば早く腸に送られて胃が軽くなり、吐き気はしても実際には吐きにくくなる。

そして、乗ってからのために冷たい飲み物を用意しておき、気持ち悪くなったら少しずつ飲む。

冷たい物を飲むと胃の働きは悪くなるから、悪くなれば吐く力も弱くなる。

なお、その飲み物には『コカ・コーラ』を使うという手もある。

カロリーゼロなどの人工甘味料の物は駄目で、ちゃんと砂糖が入っていれば脳が愉しい気分になって気持ち悪さが誤魔化され、炭酸の刺激もまた吐き気を軽減してくれる。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート