奥さんから膀胱炎の薬を頼まれたとのことでお客様の相談を受け、以前に『ボーコレン』(五淋散)を使っていたそうなのだが、選んだ経緯が分からず、病院に行った事もあるというものの、その時の処置も不明だという。
頼まれ物の薬というのは、こういうパターンが多くて困る。
薬の買い物を頼む方も頼まれる方も、詳細をメモするようにしてもらいたいところ。
もしくは、店頭からでも連絡が取れるよう打ち合わせをしておいてもらえると助かる。
お客様には、病院で処方される可能性のある薬として『五淋散』の他に『猪苓湯』と『竜胆瀉肝湯』に、民間薬の『腎仙散』も交えて比較を説明し、商品の写真を撮るのを勧めたうえで、使ったことがあるという『ボーコレン』をお買い上げいただいた。
本来、漢方薬は症状だけではなく患者さん自身の証も検討しなければならないのだけれど、患者さんの代理の人にそこまで詳しく説明しても仕方が無いので、単純に整理をした内容は次の通り。
漢方薬は生薬の種類が少ないほどストレートに作用することから、『猪苓湯』が膀胱炎のファーストチョイスとなることが多い。
これを基本に、疲労が思い当たる場合には『五淋散』を用い、排尿時に灼熱感を伴うようなら『竜胆瀉肝湯』を使って、良く分からない時には生薬の種類が多く広く浅く効く『腎仙散』を試してみることが考えられる。
またここに、食欲が低下していたり声が弱々しかったり、加齢による体質虚弱な場合には『ユリナールb』(清心蓮子飲)も候補に加わる。
それから、今回お客様が女性ではないので逆にお話しやすかったのだけれど、排尿後の清浄は陰部を「拭く」のではなくて、「ポンポンと叩くように吸収させる」ようにしたほうが清潔なので、それを知っているか本人に確認してみるようお話した。
他人の排尿後の始末の仕方など知らない人が案外と多いので、大事なことではあるのだけれど、なかなか女性のお客様には確認しにくい。
女の子を育てている親御さんには、早いうちに正しい清浄方法を教えてあげてもらいたい。
また、抗菌のためには体内の温度を高く保つ工夫が必要なので、しっかり入浴することや、暑い季節でも下半身は冷やさないよう服装に気をつけること、温かい物を積極的に飲むというお話をした。
さて、どこまで患者さん本人に伝わるか。
お客様がスキンケアの棚で『クロキュアEX』に興味を持たれているようだったので声をかけたところ、肘の黒ズミに使える薬を探しているとのことだった。
患部を見せてもらうと、かなり黒味が濃く、基本的に血行を良くすることにより皮膚の材料を運んで新陳代謝を促す薬なので、改善には時間がかかることを説明した。
他に、同じく血流を良くして美肌効果が期待できる薬として知られるヘパリン類似物質の商品を紹介したところ、娘さんがニキビに病院から処方されているとのお話だった。
とにかく期間的には長くかかるだろうから、先に病院を受診して専門家の意見を聞いてみるよう勧めたところ、本日はお帰りになった。
夫婦のお客様が「ユンケル飲みたい」という会話をしており気にかけていたところ、『ヒストミンゴールド液プラス』を購入されるのでヒアリングしてみると、娘さんの夏バテに使うというため最適であることを伝えた。
夏バテに限った話ではないが、疲労というのは内臓の機能も低下していることが多いので、タウリン系のドリンク剤よりも生薬の多い『ユンケル黄帝液』の方が良いとはいえ、興奮作用のあるカフェインは無いほうが内臓が休まるから、胃腸障害にも適応する『ヒストミンゴールド液プラス』がより良いと云える。
それにタウリンは、もとも体の中にあって疲労すると消費されるため、それを補えば疲れが取れるという考え方に基づいているのだけれど、本当に消費した物を補うと効果があるのかは分からないのが現状。
だから、一緒に入ってることの多いカフェインの作用を考えても、最後のもうひと頑張りとか、これを乗り越えれば後は倒れるだけといった瞬間的なラストスパートに向いていると考えられる。
一方、『ユンケル黄帝液』のような生薬系は、即効性のある生薬と遅効性の生薬とが処方されていて、まだ先が長いとか、これから何かを始めるといった長期戦に向いているので、安いタウリン系を毎日1本飲むくらいなら、3日に1本少しお高めの生薬系を使った方が体への負担も少ないだろう。
そう説明したうえで、夏バテの予防には涼しい部屋で過ごしつつも温かい物を飲食するよう勧めた。
冷たい飲み物が気持ち良く感じたとしても、冷やされた内臓は温め直そうとして無駄にエネルギーを消費して、それが疲労の原因となってしまう。