若い外国人のお客様2人組からニキビの薬を求められ、いったんは『ペアアクネクリームW』を案内したけれど、患部を見せてもらうと炎症が強そうだったので『クレアラシル』を勧めて、お買い上げいただいた。
皮膚疾患の相談をされる患者さん全般でありがちなのだけれど、やたら患部を触るので、触らないようにとジェスチャーで伝えた。
若い男性のお客様が『メンソレータムアクネニキビ』を探しにいらしたけれど、うちのお店では取り扱っていないので、同じ処方の『クレアラシル』を紹介したところ購入していただけた。
以前に仕事でマスクをしていたらニキビになったとのことだが、ニキビとオデキは似ているようで違うため、本当にそれがニキビだったか分からないことをお話した。
確かに表に現れる症状としては見分けがつきにくいものの、ニキビの原因菌はアクネ菌で、ニキビなどの吹き出物は黄色ブドウ球菌である事が多い。
そして、黄色ブドウ球菌は食中毒の原因金でもあり、アクネ菌は黄色ブドウ球菌の活動を抑制するから、ニキビの原因菌のおかけで私たちは手洗いが不十分でも食中毒を起こさないで済むという絶妙のバランスの中、安全に生活できている。
つまり、ニキビ菌には感謝しなくてはならないんである。
しかも、食中毒を招く憎き黄色ブドウ球菌はヤクザみたいなもんで、自分の縞で暴れられたら迷惑なものの、外から侵入してくる菌に対しては撃退してくれる、頼りになる荒くれ者。
世の中、キレイキレイでは成り立たないんである。
お客様は『オロナインH軟膏』を使っていたというので、患部を保護するという役割においては良い事とお話して、患部に手が触れそうになったら手を下げるよう伝えた。
また、洗いすぎに気をつけて、洗顔料やハンドソープなどを手元で泡立てて患部に乗せたら、こすらずに洗い流すだけにするように伝えた。
汚れが落ちないんじゃないかと心配になるかもしれないが、表面張力によって泡に汚れが引き寄せられるから、こすり洗いして体を守る菌や皮脂までも流してしまうよりは、洗いすぎないのが一番。
また、症状が酷くなったら病院に行こうと考える人が多いが、医師からすると「もっと早くに来てくれれば」というケースは少なくない。
早めに病院に行って空振りならば、それでホッとするのが一番とお客様に伝えた。
『デリケアM’s』の現物を持参した高齢のお客様から、同じ物をと求められ案内したうえで、患部の状態を確認するようお話したら、患者はご主人とのことで「確かめてみる」と、お帰りになった。
こういう時、本当に確かめてくれる気になったのか、面倒に感じて他のお店に行ってしまったのか、気になってしまう。
『デリケアM’s』がクリームなのに対して、似た処方に『フェミニーナ軟膏』がある。
よく軟膏を「ベタつくから嫌」という患者さんがいるのだけれど、軟膏はベタつくことによって服と擦れるのを防ぎ、クリームはというと外部からの侵入を防ぐ負のバリア機能を破って浸透するように調節されており、患部の場所と症状によって判断しなければならない。
また処方的には『デリケアM’s』は痒み止めと抗炎症剤の組み合わせで、『フェミニーナ軟膏』は痒み止めに弱い局所麻酔薬を加えているという違いもある。
そして、湿疹ならば患部と健康な皮膚の境目は緩やかなグラテーションだけれど、カンジタやインキンタムシなど真菌(カビ)が悪さをしている場合には境目がクッキリとしており、『ダマリンL』などの水虫薬の出番となる。
患部によっては恥ずかしいと思うかもしれないけれど、小声でも良いから店員に相談してもらいたい。