お客様から浣腸の20ccを求められたけど置いていないため、10ccを2本使う方法を勧めたところ11歳の子供とのことで、お買い上げいただいた。
そもそも浣腸は刺激物なので20ccをいっぺんに使うより、様子を見て追加する方が安心である。
そしてお客様には、トイレでの排便しやすい姿勢を教えた。
人間の直腸は立っている時に蓋をする構造になっていて、そのおかげで立ちションはできても立ちウ○コはできないようになっている。
だから急な便意に襲われた場合、お腹を押さえるような姿勢で腰をかめてしまうと漏れるので、背筋を伸ばしたほうが良い。
トイレに飛び込んでも、下着を脱ぐさいに腰をかがめると悲劇になるので、便座に腰掛けるまでは油断しないように。
でもって、便秘している時にはその逆をすると排便しやすくなる。
つまり、理想は和式便器に座る姿勢。
洋式便器に座ったら、膝が胸につくくらい前かがみになるか、台を用意して足を乗せるのだ。
若いお客様から睡眠導入剤を注文されたけれど、市販薬は睡眠補助剤であることを説明したうえで売り場を案内すると、前に使ったという『ドリエル』を購入された。
古いタイプのアレルギー性鼻炎や皮膚の痒みに使われている成分の、眠くなる副作用を利用した薬で、急激に眠くなるから寝入りに時間がかかる人に向いているものの、寝起きがスッキリせず頭がボウッとするかもとお話したところ、働いていないから大丈夫とのお返事。
病院を受診してるかは不明で、睡眠障害にも種類があることをお話してみたけれど、本人は「ストレスだから」とか「頭が忙しいから」とあまり話を聞いてもらえなかった。
むむっ、もしかすると病院で何か処方されていたかもしれないなぁ。
もう少し上手く話を引き出すべきだった。
当然のことながら眠りは、感情との関係が深い。
寝入りに時間がかかるのは肝臓が過剰に働いている場合で、感情の特徴は「イライラが持続する」ことなため『柴胡加竜骨牡蛎湯』や読んで字の如しの『抑肝散陳皮半夏』が適応する。
寝ることができても、ウツラウツラとして寝た気がしないのは胃腸の機能が低下しており、感情面では「起きていないことを心配する」ことに現れて『桂枝加竜骨牡蛎湯』が候補となり、看護師など夜勤をする人ならば『加味帰脾湯』で改善が期待できる。
年を取って多くなる、夜中や明け方に目が覚める中途覚醒は腎臓の機能低下と連動していて、感情としては「無気力」だったり、今まで愉しめていたことが「愉しいと感じることができない」というケースが多く、腎を助ける『牛車腎気丸』や『サモンエース』(知柏地黄丸)を用いる。
そして大事なことだが、人間の体は機械ではないから、これらの状況がいっぺんに現れることがあるし、若い時の中途覚醒は内臓もまた成長途上でエネルギー不足ということもあるので、フローチャートのように当てはめていくのは適切でない。
そこを探っていくためにも「薬ちょうだい」ではなく、対話していきたいんである。
お客様が『太田胃散』を購入されるさいに、鼻炎薬との併用に気をつけるように伝えると興味を持たれたので説明すると、大変に驚かれた。
厳密には成分の組み合わせで決まることなのだけれど、総合胃腸薬に制酸剤として入ってることの多いマグネシウムやアルミニウムは、鼻炎薬の一部の成分を吸着して体への吸収を妨げて、鼻炎薬の効き目を落してしまう可能性がある。
また、『太田胃散』には入っていないが、やはり制酸剤として使われることの多いロートエキスは下痢止めとしても使われ、要は内臓の機能を低下させる作用があり、鼻炎薬や咳止め、あるいはその両方の入った総合風邪薬と併用すると、さらに内臓機能を低下させてしまう。
とにかく胃腸薬は、処方されている成分の種類が多いジャンルなため、他の薬や持病との兼ね合いを考えるのが難しい反面、気軽に買う人が多いうえ、高齢者ともなると「昔から使ってるから」という理由で選んでいることもあるから、売る側としては神経を使うんである。