病気が怖い、薬が怖い、どちらも怖いときにこそ相談を

お客様からタウリン系ドリンクの質問を受け、価格的には『リポビタンD』と較べてエゾウコギとオキソアミヂンが入っている分、費用対効果の高い『キューピーコーワα ドリンク』を紹介し、『ユンケル黄帝液』などの生薬系との使い分けを説明した。

タウリン系の弱いところは、今のところその効果が今ひとつ判然としないところ。

イカなどに含まれているタウリンは体内にも存在していて、疲労すると消費される。

つまり、何か疲労の回復に関わってるんだろうなとは分かっているものの、消費された分を補えば疲れが取れるかといえば因果関係としては必ずしも成立しない。

たとえば、骨を構成しているカルシウムは筋肉を動かした時に使われ、またイライラした時に鎮静化するのにも消費される。

むしろ、そうやって使うために骨に貯蔵している訳だけれど、カルシウムを摂取したからといって疲労を回復する訳ではない。

でも、漢方薬では動物の骨や貝殻などの生薬が、気持ちを落ち着ける作用があるとされている。

言ってしまえば、摂取したカルシウムが体の中でどう使われているのかが未解明なら、口から接種したカルシウムが体内で役に立つ過程も、実はまだ分かっていない。

経口摂取した物は、いったん分解され代謝され、それから他の栄養とも結びついて利用されるので、相当に複雑なんである。

そういうことでは、薬に含まれている成分の中には「原理が解明されないまま使われている」物も少なくない。

なんだか怖いと思われるかもしれないけれど、「効果が分かっている」から採用されており、完全解明するまで使わないのでは100年経っても使えないなんて事になりかねない。

もちろん採用された後も、副作用などの追試は繰り返し行なわれているから、そんなに怖がる必要は無い。

いずれにせよタウリンについては、効果も原理も良く分からないまま。

一方、生薬も種類によっては同様に効果も原理も分かっていないものの、原理は分からないけど効果は確認されている物がある。

そしてその中には、即効性のある物と遅効性の物とがあり、だから『ユンケル黄帝液』などは長丁場のときに有益で、タウリン系は最後のラストスパートに向いている。

生薬系は価格が少し高いけれど、安いタウリン系を毎日1本飲むのであれば、生薬系を3日に1本飲むスタイルにすれば費用的には変わらなくなるはずである。

そんなお話をしたら、お客様は家に病院で処方された『人参養栄湯』『補中益気湯』が飲まないまま大量に余っていて、担当医に言っていないとのこと。

前者は手術の後などの肉体の疲労時に使う漢方薬で、後者は気力が上がらない場合に用いる物。

しかも、処方された薬を飲まないまま診察を受けるのは、診断を誤らせてしまうので、まずは担当医に報告するよう勧めた。

それに使わないのはモッタイナイので、それぞれの薬価を伝えると「そんなに高いの!?」と驚かれた。

保険が適用されているから安く感じるかもしれないけれど、お金を飲んでるようなものである。

いや今回の場合は使ってないのだから、タンス預金みたいなものか。

両方が処方されてるとなると、その価格は『ユンケル黄帝液』の比ではない。

実はお客様は、がんの疑いがあると診断されていて、怖くて詳細な検査を断っているというため、なおさら早めに検査を受けるよう勧めた。

栄養ドリンクの話をしてる場合じゃないです(;´Д`)

薬価サーチ

若いお客様が、販売期限が迫って値下げしている虫刺されの薬『マニューバEX11』をレジに持ってきたさいに、ステロイド剤が入っているから効き目が良いと伝えたところ、ステロイド剤を心配された。

すると免疫に関係する内服薬を病院から処方されているとのことで、適切に使ってる分にはステロイド剤でも怖くないことをお話したうえで、炎症が強くなければステロイド剤の入っていない代わりに局所麻酔薬の入っていて痒みに効果の高い『ウナクール』などはどうかと提案した。

ただ、心配であれば調剤している薬局に相談してから使ってみるようお話すると、今回は買わずにお帰りになった。

怖いと思っているのに、値引き品の市販薬を相談せずに買おうとする心理が分からないε-(‐ω‐;)フウッ

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