お客様から『冷えピタ』を求められ、体温が38度を超えるようであれば水枕をと伝えると、子供が37度くらいの熱を出してるとのことだった。
ううむ、微妙なところですねぇ。
『冷えピタ』や『熱さまシート』などは、あくまで“冷感”であって本当に冷す訳ではない。
だから、ヤケドはもちろんのこと、打撲や捻挫なんかにも使えない。
でも、使おうとする人が一定程度いるため、こうして声をかけて用途を確認している次第。
そして、水枕で冷すにしても、解熱剤を使うにしてもタイミングというものがある。
悪寒がする段階では、熱を下げるのにはまだ早い。
体がもっと熱を出して風邪のウイルスなどと戦おうと準備をしている段階なので、そこで熱を下げるのは、ジャンプをしようとかがんだところを蹴り倒すようなものである。
より正確な体の仕組みとしては、免疫機能を活性化させるために身体のほうで先に体温を何度くらいに上昇させるか設定をし、その体温になるよう筋肉を震えさせるのだが、それが悪寒の状態である。
つまり発熱し始めていても、悪寒がしているということは設定温度はもっと高めなので、まだ設定温度に到達していないのだ。
そのため、お客様には体温が上がっても水枕を使うのは悪寒がしないことを確認してからと説明した。
また、子供の表情や様子を観察するのも重要。
発熱しても元気に体を動かしているとか、笑顔が見られるようなら、まずは安心して良い。
寝転がって、だるそうにしているような場合は、熱を出そうと体が頑張っていても出せない状態なので、病院に連れて行くことを検討したうえでの対処が必要になる。
今回の場合は、すでに食欲は落ちてるというため、変な言い方ではあるが、ちょうど良いので食事は控えるよう勧めた。
というのも、食事をすると消化にエネルギーが必要になり、風邪と戦うエネルギーが不足してしまう。
水分と塩分さえ摂れば、栄養を無理に摂ろうと無理に食事をするより、内臓を休ませるのが大事とお話した。
お客様が『フルコートf』や『ペアアクネクリームW』を見較べていたため気にかけていたところ、『アクネス25メディカルミスト』をレジに持ってきたので、スプレータイプだが顔に使う場合は掌に出してから塗るよう伝えたところ、口元のニキビに使うつもりだと分かって、ギャッとなった(゚д゚)!
『アクネス25メディカルミスト』の成分は、皮膚をわざと腐らせて新陳代謝を促すものだから、口元のように薬剤の耐性が弱い部分に使うのは好ましくない。
お客様は患部に痛みは無いそうだが、膨らんでいて芯があるようだったので、抗生剤を提案し『テラマイシン軟膏』と『ドルマイシン軟膏』を紹介した。
炎症が強ければ『フルコートf』を使うことも考えられるものの、やはりステロイド剤も口元は避けたいところ。
さりとて芯があるようだと、『ペアアクネクリームW』では効果が弱すぎる。
というか、ニキビではなくオデキのようにも思える。
一般的にニキビの原因はアクネ菌で、オデキの方は黄色ブドウ球菌であり、現れる症状は似ているようで違う。
今回紹介した軟膏は、どちらも2種類の抗生剤を合わせた効果範囲の広い物なので、ブランド名で選んでも価格で選んでも構わないと説明し、『ドルマイシン軟膏』をお買い上げいただいた。
お客様は洗顔をしているそうだが、洗い過ぎにも気をつけるようお話した。
体にはバリヤーとなる皮脂があるのと、体を守る菌もいるので、洗いすぎてしまっては駄目。
石鹸や洗顔料を泡立てて肌に乗せ、その後にこすったらもう洗い過ぎである。
表面張力により乗せた泡に汚れが吸い付けられるので、そのままお湯や水で洗い流してしまえば充分。
それと、お客様はシャワーのみで入浴していないというため、暴れてる菌に対抗するためには体温を上げて免疫機能を高めたいから入浴を勧めたうえで、太い血管の通っている背中側に重点的にシャワーを浴びる方法を教えた。
夫婦のお客様が口内炎の棚の見てるところに声をかけるも反応無しで、『トラフル軟膏』をレジに持ってきてから、効き目は真ん中くらいと伝えると、ようやく返事してもらえた。
なんだよー。
案内を断られるにしても、まだ「大丈夫です」とか「結構です」と言われる方が、まだマシ。
夫婦揃って無視は酷いんじゃない?
それでいて、買う薬の内容は確かめていなかったのか……。
大きく三段階に分けると口内炎の塗り薬は、ステロイド剤入りで一番強い物と、次いで『トラフル軟膏』のような抗炎症剤の次に、患部の修復を目的とした物とがある。
今回は患部が痛むというため、ステロイド剤の『オルテクサー』を紹介すると変更となった。
しかし、やはり2人ともに話を聞く感じではないので、養生法は途中で打ち切ることにした。
夫婦で片方の反応が違うというのはよくあることだけれど、今回のように夫婦揃って話を聞かないとか夫婦で一緒に怒りっぽいお客様に当たることがあるけれど、いわゆる似た者夫婦ということなのだろうか。
読んでくれる人向けに養生法を書いておくと、人間の体は発熱したり限定的に炎症させることによって免疫機能を活性化し、ウイルスや菌と戦ったり、血流を良くして材料を運び老廃物を回収する。
つまり早く治すには温めることが重要で、気持ち良いからと冷たい物を飲んだり食べたりすると、体の方は抵抗しようとして患部の炎症を強めてしまう。
だから、熱い物は患部にしみるから無理としても、痛まない程度には温かい物を選んで食事をしたほうが良い。
また、口に現れている症状は胃でも起きていると考え、それこそ具の柔らかいスープなど消化に良い食事の工夫が必要となる。
お客様から風邪薬を求められたけれど、主訴は鼻水に喉の痛みと熱感で、家に鎮痛剤はあるというため熱が高くなったら鼻炎薬との併用を提案し、鼻炎薬には喉の痛みへの効能もあることを説明した。
また、咳が出ていないのに咳止め成分の入っている風邪薬を使うと、副作用のリスクのほうが大きくなってしまうことをお話しして、市販薬の風邪薬の中では珍しく咳止め成分の入ってない『PL顆粒』を紹介したうえで、『パブロン鼻炎カプセルSα』をお買い上げいただいた。
ちょうどお客様がした咳の音が湿った音だったので、内臓が冷えている可能性お話しし、温かくて柔らかな食事をするよう勧めた。