やや高齢のお客様から目がショボショボするとの相談を受け、価格の高い目薬を使ってもダメだったというため、価格と効果は必ずしも比例しないと説明した。
それに、使った目薬を憶えておらず、それでは何が合わなかったのかを推測することもできない。
使ってみて良かった物はもちろん駄目だった場合にも、薬の現物か添付文書、せめてパッケージだけでも手元に残しておくのが良い。
また、目の機能は腎とも関係するため、加齢による場合にと『牛車腎気丸』を紹介したところ、以前に白内障の治療をして他にも服用してる薬があるというのに何一つ憶えておらず、お薬手帳も持ってきていない。
起きている症状そのものが、使ってる薬の副作用の可能性も考えられることをお話し、まずは担当医に相談するよう勧めた。
ただ、使っていたという目薬が1日に1回だけ点していたと分かり、5~6回は使わなければ効果を得られないことを教えると、さらに目薬を点した直後に目に溢れた分をティッシュで吸い取っていたというので、目を閉じて目薬が溢れたままにするようお話した。
緑内障の目薬など、瞼に付いたら拭き取るよう指示される物もあるけれど、それと勘違いしたというのではなさそう。
目薬を点したら、薬液が目の後ろから鼻腔に垂れてしまわないように少し下を向くのが大事で、そうなると目から溢れないよう同時に目を閉じる。
目に行き渡らせようと瞬きをしてしまう人もいるけれど、それだと薬液が睫毛に持っていかれてしまう。
とにかく薬液を目に閉じ込めるために、点したらすぐに目を閉じて少し下を向き、そのまま1分以上、できれば5分はそのままにしておくのが目薬を無駄にしない方法。
目頭を少し強く押すという方法もあるものの、指が汚染されていると良くないので、私は目を閉じて少し下を向くほうが手軽で安全だと思う。
お客様にも説明すると、本日は何も買わずにお帰りになった。
若いカップルのお客様が来店し、洗眼薬を手にして「眼科に……」という女性の声が聞こえたため声をかけてみたところ、彼氏が目の充血があり痛みも感じるというため、先に眼科を受診するのは良いこととお話したうえで、『新緑水b』を案内した。
また、目はデリケートな部分であるため、目薬に使える成分はガチガチに決められており、新発見の素晴らしい成分が入っているということは、まず無い。
既存の成分の濃度や、組み合わせを替えているだけで、それだけでも試験をするのに莫大な費用が掛かるから、新製品は高額になりやすく価格の高い物が良いとは限らない。
もちろん、主成分の濃度の濃い物を試してみる価値はある。
同時に、休めの物から試してステップアップしていくという方法もある。
ただ、どちらにしても実際に使ってみて比較するのに、成分表示は取っておいて使用感はメモを残しておくこと。
あと、充血用の目薬を選ぶさいには、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリンなどに注意してもらいたい。
これらは単なる「血管収縮剤」で、ただでさえ細い目の血管を収縮して血液が通らないようにすることで、充血を目立たなくしているだけ。
治している訳ではないし、繰り返し連用していると血管が固くなったり、そこまで極端なことにはならないまでも、細い血管に血液が通ろうとすれば炎症を起こして今度は充血の原因になってしまう。
だから、これらの成分が主成分なのか補助的な量なのか確かめておくことと、主成分になっている目薬は使わない日、休憩を設けるようにしてもらいたい。
今回の『新緑水b』にはこれらの成分は入っておらず、お買い上げいただき目薬の使い方を教えると、彼女の方が「初めて知った!」と感心された。
子供を連れたお客様から乾き目の相談を受け、痛みも感じるようだったため『新緑水b』を案内したうえで、目が乾くことが多いというお話から、ゴマ油配合で目に膜を張る『新ロートドライエイドEX』と、神経や血液細胞を良好に保ち病院でも処方されることのあるビタミンB12製剤の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を紹介した。
本日は『新緑水b』をお買い上げいたたき、子供を連れて薬を買う様子を見せるのは良いことなので、ぜひ続けて下さいとお願いした。
何故なら、練習していないことは、いきなりは出来ないからだ。
薬を買うのは、ただ金銭の遣り取りをする買い物の練習と違って、相談するという過程が必要になる。
でも、人に何かを相談するというのは自身のことを分かりやすく相手に伝え、疑問に思ったら質問するという、大人でも難しいこと。