常連のお客様から空間除菌の『クレベリン』について質問を受け、旦那さんが臭いで気分が悪くなったと聞いて心配というので、そもそも塩素自体は無臭で何かと反応したからと考えられることを説明した。
そして、本当に実験のとおりに空間の除菌ができるのだとすれば、その濃度はどれくらいなのかというのが一番の問題。
ゴキブリを駆除する燻煙剤を考えれば分かるが、濃度が濃ければ菌どころか自分も殺菌されてしまう。
人間には安全な濃度だとするのなら、その濃さで期待通りの効果があるのかは、はなはだ疑問。
メーカーが提示しているデータは、あくまで人が出入りしない密閉状態でのものなので、通気の良い場所で使って意味があるのか、ましてやポケットに入れておくスティックタイプなんか屋外で都合良く自分の周囲を清浄してくれるなんてことは考えにくい。
あと、特許を取得していることもアピールしているけれど、特許というのは既存の技術の改変や新規なアイデアに対してだから、それがスゴイかどうかは評価の対象ではない。
例えば、新しい洗濯ばさみのアイデアを思いつき、たとえそれを実際に作ったとしても、使ってみて本当に便利かどうかは問われない。
言ってしまえば、思いついた物が便利でなくても特許を取得することはでき、他の人が真似しないのは単に実用性が皆無だからという物も認められるので、『クリベリン』が役に立つかどうかに特許は関係無いんである。
安心感はお金で買えるけど、それは実態を伴わない感覚だけで、安全は手間のかかるモノ。
その手間にしたって、手洗いなんかは楽な部類のはず。
お客様は他に、トイレに行って手を洗わない人が気になるというので、それは案外と大丈夫とお話した。
もちろん洗った方が良いのだけれど、トイレの床よりも浄水器の水の出る部分のほうが大腸菌に汚染されてるケースもあるくらい。
人のことを気にするよりも、まず確実に自分の手洗いに専念するほうが精神衛生上も良いだろう。
また、インフルエンザにマスクは意味が無いと聞いたというため、喉の湿度を50%以上に保つとウイルスの活動を抑制するし、口元を手で触らないで済むようになるのも重要と説明したところ、お客様自身は寝る時にマスクをすることがあるというので、それは良い事と伝えた。
幼児を連れたお客様が雑貨を購入されるさいに、インフルエンザ対策として手洗いのほか、手の触れる場所と子供のオモチャの拭き掃除が大事なことをお話した。
消毒用エタノールを使わずとも、拭く回数を増やすだけでも有益である。
高齢の夫婦のお客様が、『イソジンうがい薬』とマスクをレジに持ってきたけれど、前者は現に喉が痛い場合には刺激物でもあるため使わない方が良いと伝えると、風邪の予防が目的というので、毎日うがいするのであれば水道水で充分と説明したところ、マスクのみの購入となった。
殺菌剤は体を守る菌も殺してしまうから、『イソジンうがい薬』を使うとすれば家族が風邪をひいているようなときに短期集中である。
お客様からは、「売るアンタが言うんだから」と信用してもらえた模様。
風邪の予防にはマスクで喉を潤すことと、手洗い、そして手の触れるところの拭き掃除をするよう勧めた。