薬の選択の押しつけはできない。だからこそ、情報の提供は怠れない

 お客様が『ベンザブロックL』と『パブロンせき止め液』を一緒にレジに持ってきたので、併用しないか確認したところそれは大丈夫なようだった。
 総合風邪薬と咳止めを一緒に飲む人なんかいないだろう、とは思うものの、たまにビックリするような薬の使う方をする人がいるから油断はできない。
 総合風邪薬と鼻炎薬を一緒に使おうとしている人なら遭遇したことがあるし、食べすぎの腹痛に鎮痛剤を買い求める人は年に3人は発見する。
 まぁいいだろうで声をかけない訳には、いかないんである。
 今回は、旦那さんが患者だそうだけれど、咳はそれほどでもないものの発熱と喉の痛みに使うというため、それならば鎮痛剤を提案したところ、頼まれ物とのことでそのまま購入された。
 咳止め成分のうち、覚醒剤系は喉を開いて呼吸をしやすくする代わりに心臓や血管に負担がかかるうえ、体が治っていなくても元気になったように錯覚してしまう。
 麻薬系の方は、中枢神経を抑えるので咳は効果的に止まるものの、いわば身体機能を落として止めるため呼吸が浅くなり、体内の保水機能が狂って乾燥すると、かえって咳を誘発してしまう。
 お客様にも、一応は咳止め成分のリスクをお話したのだけれど、どうも旦那さんに怯えているようで、モラハラではないかと思ってしまった。
 他に『ロキソニン』を希望されたが、薬剤師がいなくて置いていないため、イブプロフェンでも代用できることをお話したが、そちらは諦めた模様。
 それこそ、旦那さんの主訴である発熱と喉の痛みにも適応するから、ご本人と連絡が取れると良いのになと思う。
 もし銘柄にはこだわっておらず、風邪薬なら納得するのであれば市販の中では珍しい、咳止めの入っていない『PL錠』を案内することもできるので。

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 家族連れのお客様が『アペテート整腸薬』と、販売期限が迫って値引きしている『エスタックイブ』をレジに持ってきたけれど、常備薬のようなので咳止め成分のリスクをお話して、鎮痛薬と鼻炎薬と咳止めを個別に置いて、起きた症状に合わせて運用する方法を提案した。
 総合風邪薬に書いてある症状の、発熱・喉の痛み・鼻炎・咳がいっぺんに現れるというのは結構レアケースで、特に瓶のタイプは開封したら消費期限が早まるため、起きていない症状の成分を処理しなければならない体の負担も考えると、コストパフォーマンスは決して良くない。
 一旦は奥さんがキャンセルを決めたけれど、ご主人の強い希望で購入となった。

「風邪薬の選び方と風邪に似た症状」

 お客様が『ナイシトールZ』(防風通聖散)を購入されるので、便秘してるか確認したところ、便秘は無く、1ヶ月ほど使っていて追加分とのことだった。
 病院を受診したり健康診断で指摘された訳ではないというため、適応していない可能性があることと、効果が現れるとしとも3ヶ月以降になることを説明し、病院を受診したうえで処方してもらうことも検討するよう勧めた。
 入浴はしようと思えば入れるのが、時間の関係でシャワーで過ごしているというため、『防風通聖散』は体内を冷すことで内臓に運動させる処方なので、補助として入浴が大事と伝えた。
 どうしてもシャワーで済ませたい場合には、太い血管の通っている背中側に重点的に浴びる方法がある。
 ただ、睡眠の質は体脂肪の蓄積と処理にも関わってくるから、寝る時間を削ってでも入浴したほうが睡眠の質が良くなる。

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