患者よ、病院へ還れ。いや、病院から離れすぎないようにして下さい

 お客様が外用消炎剤の棚で迷っている様子だったため声をかけてみると、ヘルニアと診断され以前に病院で『ロキソニンテープ』を処方されたことがあり、医師に「もう治らない」と言われたそうだ。
 本当にそんな言い方をしたのかは分からないけれど、鎮痛効果が高く血液にも成分が入っていくジクロフェナクトリウム製剤と、少し鎮痛効果の落ちるフェルビナク製剤を案内したうえで、これまで別々の病院で手術を受けたというため、今は医師もSNSで情報交換していたり治療方法も新しくなったりしている可能性があることをお話すると、急に「病院に行く、ごめんね」と買わずに帰られた。
 さすがに、新しい治療法なんてのは言い過ぎかなと思ったけれど、病院というのは「完治するための治療」だけではなく、「経過観察する」ことや「悪化を抑える」といったことも行なうところで、市販薬を漫然と使うのは危ないから、使うとしても通院は続けたほうが良い。
 なので、病院に行く決心ができたのなら良いのだが……。

 やや高齢のお客様が『セルベール』を購入されるさいに、胃の機能が低下した人向けであることを伝えると思い当たるようだった。
 お湯と水とでの鑑別方法を教えたうえで、今回は胃の機能を助けるために内臓の保温をするよう勧めた。
 どういう事かというと、お湯を飲んで楽になるのは胃が冷えているか疲労などで機能が低下しているから、温めると血流が改善して気持ち良く感じると考えられる。
 そういう時には、何かを飲むときにも電子レンジで温めたりして積極的に温かい物を飲み、しっかり入浴をして服装は上は薄着をしても下半身は厚着をしたり腹巻きなどで保温をする。
 反対に水を飲んで楽になるようだと、胃炎や胃熱を起こしたりしていることが考えられ、胃薬は制酸剤など働き過ぎを抑制する成分が入っている物を選ぶ。
 ただし、養生法については実は同じで、どちらも内臓を温める工夫をしたほうが良い。
 というのも、患部は老廃物の回収や修復するための材料を運ぶ血流を活発にするために熱を起こしているので、冷たい物を飲むと気持ち良いからといって冷やしてしまうと、余計に頑張って炎症を強めてしまうのだ。
 だから、内臓が温まる対策を講じることで、頑張って熱を出さずとも良いということを体に教えてあげると症状は治まる。
 まぁ正直言うと、大抵の胃の不具合は3~7日ほど介護食のような、あまり噛まずに済んで温かく消化の良い食事をすれば、薬など使わなくとも回復してしまう。
 むしろ、それで回復しなければ病院の受診をする必要があるという目安にもなる。
 安易に胃薬を頼るより、食事を変えてしまったほうが体にも財布にも優しいだろう。

 外用消炎剤を見ていたお客様から、成人の娘さんの寝違いについて相談されたので、急性症状には強い薬を最初に使い、痛みが和らぐに従って弱い薬に乗り換えていくステップダウン方式が良いことをお話して、成分ごとの鎮痛効果と浸透力の違いを説明した。
 また、冷感や匂いを嫌がる人がいるけれど、極寒の地で生きていくのは難しいから人間の神経は痛みより先に冷たさを感じるようにできているので、冷感は痛みの感覚を軽減するのに役立つし、匂いもまたリラックス効果があるから、あったほうが良い。
 もとより市販薬は、根治治療ではなく症状を抑えるのが目的の物が多く、自然に回復するまでの症状の軽減か、病院に行くまでのつなぎである。
 要は、症状を感じる脳を騙すのも効果のうちなんである。
 今回は、鎮痛効果と浸透力に優れたジクロフェナクナトリウム製剤の『ボルタレンEXローション』を、お買い上げいただいた。

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