子供を連れた夫婦のお客様が『アスコラルL』をレジに持ってきたけれど、比較的弱い薬で良いか尋ねると患者はご主人で、背中の急な痛みに使うとのお話だった。
『アスコラルL』は『トクホン』や『サロンパス』などと同じで、実は鎮痛作用も抗炎症作用も持ち合わせていない。
弱い刺激を患部に与えることで痛覚神経を混乱させて、肩こりなどを痛みを気にならないように誤魔化しているだけ。
ただ、その刺激がマッサージにもなるので、弱いから駄目ということでもない。
あくまで、捻挫や打撲のように痛みの伝達物質であるプロスタグランジンなどが生成されるような場合に向かないという話である。
お客様には、鎮痛効果の高いものとして浸透力もあるジクロフェナクトリウム製剤と、浸透力の方は弱いインドメタシン製剤を案内して、後者の成分である『ハリックス55IDプラス』をお買い上げいただいた。
そして、貼り薬も浸透力のある物だと内服薬と影響することや、子供を連れて薬を買うやり取りを見せるのは将来のためにも良いこととお話した。
特に、子供に薬の買うときの様子を見てもらうのは、欲しい物をお金を払って買うのと違い、こうして症状の確認などが必要なのだということを知ってもらう良い機会となる。
お客様がお帰りになってから、肩や背中の急な痛みは肺炎や心筋梗塞などとも関係することを伝え忘れたこと思い出したが、むやみに怖がらせる事になりかねないから、伝えなくて良かったか。
でも可能性が無い訳でもないから、情報としては提供した方が良いようにも思えるし。
もう少し長くお話できれば、お客様の反応を見ながら考えられるのだけれど。
お客様が『エスタックイブ』をレジに持ってきたが、患者は高齢の母親で、熱や喉の痛みは無く、主訴は鼻水と湿った音のする咳とのことから『プレコール持続性せき止めカプセル』を提案し変更となった。
鼻水と湿った咳は胃が冷えているか弱ってる可能性をお話して、お雑煮の餅無しを提案した。
お客様から『ロキソニン』を求められ、薬剤師がいないうちの店には置いていないことを伝えたうえで、イブプロフェンでの代用を提案したところ背を向けて「ああ、いい、いい」と手をヒラヒラさせて、お話は聞いてもらえなかった。
すると、『アレジオン』を購入されるので連用するのが効果的なことをご存知か確認しようとしたけれど、「家にまだあるけ」とだけ答えて、やはりお話を聞いてもらえなかった。
花粉症などのアレルギー反応を起こさせないのが目的の薬だから、すでに症状が強く出ているようだと効果が現れるまでに時間がかかるし、服用始めたら毎日欠かさずに飲まないと効果が減じてしまうので、どの程度知っているか確認しないと心配なのだ。
もしかすると医療関係者なのかなとも思ったけれど、『ロキソニン』のことを「ありとあらゆる痛みに効く」とか「炎症の成分が入っているから良い」とか言っていて、良く分からなかった……。
常連のお客様から、高齢の母親がゼーゼーと喘鳴がしていて咳で眠れないというため、おそらく内臓の冷えが原因でしょうと説明し、『カンポアズマ』を案内しようと思ったら品切れだったため、喉を開いて呼吸しやすくするために『五虎湯』を案内して、お使いいただくことになった。
喘息もそうだが、喘鳴がしてるときに麻薬系の咳止め成分が入った咳止め薬や風邪薬を使うと、呼吸が浅くなってしまうので基本的に避けなければならない。
ただ、高齢だと今度は覚醒剤系の麻黄による心臓への負担も心配ではある。
すると、母親は骨粗鬆症の薬と、他にも何か処方されている薬があると分かり、お薬手帳に成分表示を貼っておくことと、使ったことを担当医に報告するようお願いした。
やっぱり、高齢と最初に聞いた段階で既往症や使ってる薬があるかの確認をしなくちゃ駄目だと反省(´・ω・`)
教本なんかでも、基本情報として最初に訊いておくべきこととしているけれど、まず話を聞かなければ機嫌を悪くされるケースもあって、案外とこちらから質問するタイミングが難しんだよねぇ。
薬を買う時には、1.「誰が」2.「いつから」3.「どんな症状」4.「持病や使ってる薬の有無」5.「アレルギーなどがあるか」の基本情報を、まず教えて下さい。