薬を使うかどうかは、症状を抑えなかった場合の体への負担と副作用とのバランス

 若お客様が消毒系の『ポピショット』と抗炎症系の『アズリート』を見較べていたので案内を申し出たところ、主訴は喉の痛みと声嗄れとのことだったので、後者のほうが向いていることを説明したうえで、より主訴に合わせて『龍角散ダイレクト』を紹介したところ、そちらをお買い上げいただいた。
 お客様は、『龍角散のどすっきり飴』を舐めたとのことだったが、「のどの専門メーカーが開発」と謳ってる一方でサイトにはフォントサイズをわざと小さくして「医薬品ではなく、食品です。」と書いてあるようにお菓子なので、自分の唾液で潤うだけとお話した。
 いや、ハーブの香りは好きだし、まったく効果が無いとまでは言いませんが。
 少なくとも、症状が現れてから使う物ではない。
 また、先程の『アズリート』のアズレンつながりで、非ステロイドでありながら薬の骨格としてはステロイドに似ているグリチルリチン酸を合わせた『パブロントローチAZ』と、患部を冷やす桔梗を加えた『マードレトローチ』も紹介した。
 普段、薬を使わない養生法を提案している私だけれど、症状が現れてる時にはバシッと薬を使ったほうが良いとも思っています。

 女性の親子のお客様が『ユンケル黄帝液L』を購入されるさいに、他との比較を尋ねられたのでタウリン系との使い分けを説明した。
 即効性のある生薬と遅効性の生薬を組み合わせた『ユンケル黄帝液』シリーズは、疲労の原因となる物事が長丁場になっていたり、これから何かを始めという場合に向いている。
 一方、体の中にも存在するタウリンを補給するタイプは、最後のもうひと頑張りや、あとは倒れるだけといったラストスパートに適している。
 ただ、両者とも気をつけたいのは、カフェインが入っていると脳が頑張れると錯覚して体に無理をさせがちなうえ、夕方以降の摂取は睡眠の質を低下させてしまうため、時間帯によってはノンカフェインの物を選んだほうが良い。
 そして食欲も湧かないくらい疲れてる時には、胃腸を助ける成分が入ってるほうが望ましく、『ヒストミンゴールド液プラス』を紹介した。

 子供を連れたお客様から、胃薬の『アバロン』を手に相談を受けたけれど、病院で胃薬が処方されていて毎日の服用を指示されているものの、病院にしばらく行けないまま使い切ってしまったという。
 薬の名前は覚えていたので調べてみると、胃酸の生成を抑制する消化器用剤だった。
 病院の治療に変に割って入るような胃薬を使う訳にもいかず、逆流性食道炎や胃潰瘍のようなときに使う薬のはずだから『ギャクリア』(六君子湯)を候補に考えたが、胃痛になるくらいというため『半夏瀉心湯』を試していただくことにした。
 そしてお客様には、本当ならば調剤した薬局で市販薬で代用できる薬があるか相談することと、お薬手帳は普段から持ち歩くよう勧めた。
 調剤薬局を病院に行ったときだけ訪れる場所と思い込んでいる人が多いけれど、それこそ通院しているのであれば、病院に行けない場合に最初に相談するべき所である。
 市販薬を買いに来るのは、そこで薬剤師に相談して、使って良い薬、避けなければならない薬の情報を得てからのことだ。
 お薬手帳もまた病院に行くときだけ持つのではなく、普段から持ち歩いておくのが良い。
 交通事故等で気を失っているときに持病の有無を確認できるのはもちろん、持病が無いとしても、それこそが重要な情報であり、処置の方法を早く決められるかどうかは救命率にも影響する。
 また、お薬手帳を持っている人は大規模災害で家に帰れないまま避難所に行った場合、特例として医師の診察を受けなくても薬を受け取れるし、絶やしてはいけない薬があれば救援物資に要請することもできるから、やはり肌身離さずに持ち歩くのが良い。
 スマホのお薬手帳アプリも普及してきているが、ロックを解除しないで閲覧できるアプリだとしても事故のときに救急隊員が気づきにくいし、その事故の衝撃でスマホが起動できないケースも考えられ、避難所では電源が確保できないことも考えられるため、直近の薬の履歴はプリントアウトして紙を持っておくほうが安全である。

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 夫婦のお客様が来店し、『新ルルAゴールドDX』をレジに持ってきたさいに、咳があるか尋ねると「そうです」というため、必要になるのはこれくらいですと顔を横に向けて、咳き込む様子を演じてみせたら「違う」とのことだった。
 強い薬かと訊かれたので、薬は強弱ではなく体の中でどのような働きをするのかが重要と説明した。
 咳止めの成分でなら、覚醒剤系は喉を開いて呼吸をしやすくするのが目的なので息苦しさがあるかどうか、そして麻薬系は身体機能を落としてまで咳を止めるので、咳込みが体を消耗させるほど激しいかどうかが使いどころの目安で、総合風邪薬は双方が入ってることが多いため、副作用と比較して使う必要性があるのかどうかの検討が必要なのだ。
 覚醒剤系の副作用は、興奮して寝付けなくなることと、治っていなくても元気になったと錯覚して体に無理をさせがちなこと。
 麻薬系の副作用は、体がだるくなって風邪のせいなのか見分けがつきにくくなるのと、保水機能が狂って体内が乾燥するため便秘がちになり、乾燥によってかえって咳を誘発してしまうこと。
 お客様は車の運転をするというので、鼻炎薬の成分が好ましくないし、鼻汁が喉に落ちて咳になるというため『ストナ去たんカプセル』は鼻の症状にも効果が期待できることをお話して、お買い上げいただいた。
 また、鼻汁が喉に落ちてくるのは胃を悪くしている可能性があるので、食事は温かく消化に良い物を量を控えてと伝えた。

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