お客様が『南天のど飴を購入されるさいに喉を開いて呼吸しやすくする効果があることを伝えたところ、電車に乗ると咳が出るというため上半身を潤す『麦門冬湯』を紹介してみたけれど、以前に病院で処方されてお腹を下したという。
あまり聞いたこと無いけれど、甘草の影響か?
お客様からはお礼を言われ、私の方も「貴重なお話ありがとうございます」と答えた。
ハチミツも案外と咳止めの効果があるので、蜂蜜飴を勧めてみた。
以前に私が見た論文では(英語は読めないのでグーグル翻訳にかけて)、非麻薬性鎮咳薬のデキストロメトルファンと同程度の効果があるうえ、この成分の副作用である眠気が起きない分だけ有用性が高いと評価されていた。
お客様が『アネトン咳止め錠』を手にして咳の相談を受けたのだけれど、ご主人が喘息持ちでステロイド剤の吸入器を使用してるとわかり勧められないことをお話した。
咳止め成分には主に2つの系統があり、覚醒剤系と麻薬系、そして麻薬系と似た効果を発揮する非麻薬性。
このうち麻薬系と非麻薬性の咳止めは、咳をする中枢神経を抑制するため効果は抜群な反面、身体機能も低下するので、胃腸障害を引き起こして食欲低下や便秘を招き、体内の保水機能が狂って乾燥性の咳を誘発してしまう副作用がある。
なにより、呼吸が浅くなり心臓の鼓動も少なくなるから、喉が締まって呼吸しづらくなる喘息には用いてはならないとされている。
なので、喘息には呼吸の確保のために、喉を開く覚醒剤系が適応するのだが、市販の咳止めは覚醒剤系と麻薬系を合わせた物が多く、覚醒剤系単独となると現代薬なら『アスクロン 』、漢方薬なら『五虎湯』などに限られてしまう。
すると、ご主人は乾いた音の咳をしてるようなので『麦門冬湯』を紹介したところ、病院で処方された物が家にあり、まだ使っていないというためビックリして、先に使うよう勧めたところお帰りになった。
顆粒が飲みにくいと思ったのか、漢方薬では効き目が弱いと思ったのか、処方されたのに使っていない理由が謎。
漢方薬に抱きやすい味が不味いというイメージならば、それは辛いのと苦い生薬とで構成された『葛根湯』で、『麦門冬湯』は甘い生薬で構成されている。
そして薬は、強い弱いではなく体の中で何をするのかが大事で、『麦門冬湯』は先述したように上半身を潤すことで乾燥性の咳を治める。
より効果を説明すれば、『麦門冬湯』には咳を直接的に止める生薬は入っていない。
甘草が患部の炎症を抑えるものの、処方構成としては胃薬に近い。
どういう事かというと、胃炎を起こしていると胃に覆いかぶさっている肺が乾燥し、それが咳を招く。
つまり乾燥性の咳は、胃の不具合を治せば咳も治まると考えるのだ。
だから、乾いた咳の出ている間は、食事を消化に良いメニューに切り替えるのが養生法となる。
夫婦のお客様から『エスタックイブEX』が値下げになっている理由を尋ねられ、販売期限がある迫っていることを伝えた。
市販薬は常備薬にする人が多いので、使用期限から逆算して半年から1年程度を販売期限に設定している店が多い。
お客様も総合風邪薬を常備薬にするというため、鎮痛剤と鼻炎薬と咳止めをバラバラに持っておいたほうが症状に合わせた対処がしやすいことを説明した。
風邪をひいたとしても、発熱して喉が痛み体の節々まで痛くなって、鼻水や鼻づまりの鼻炎を起こし、咳込みが止まらないという状態になることは滅多に無い。
大抵は喉の痛みとか、鼻炎だけ、咳のみというように単独か、併発しても2つの症状に治まることが多い。
痛みと発熱は鎮痛剤でまとめて面倒見れるし、喉と鼻は繋がっているから喉の痛みが軽ければ鼻炎薬で充分で、咳止め薬もまた鼻炎に効果があるため、案外と総合風邪薬を使う機会は少ないのだ。
むしろ総合風邪薬には必ずと言って良いほど咳止めが必ず入っているため、咳き込んでいなければ適応しないと考えたほうが良い。
数少ない咳止め成分の入っていない風邪薬として『PL錠』を紹介すると、ご主人の意向で『エスタックイブEX』と一緒に購入された。
お客様には、喉などの初期症状の段階で消化に良い食事に切り替えるのが、長引かせないためのコツと伝えた。
お客様から風邪薬を求められたけれど、主訴は咳と声嗄れで、これから病院に出勤するというため、総合風邪薬より咳止めだけにするよう提案し『プレコール持続性せき止めカプセル』と『新コンタックせき止めW』を案内したところ前者を購入された。
実のところ、眠気を催す可能性があるから『龍角散ダイレクト』などに行ってもらいたかったのだけれど、どうしても咳より喉の痛みのイメージがつき纏い、咳止めの薬を希望されてしまった。
それも『五虎湯』などの漢方薬ではなく、現代薬を。
現代薬は、眠気を催しやすい物が多くて困る。
お客様は、他の店では『コルゲンIB透明カプセル』を、良く効くとお店の人から勧められたそうだ。
登録販売者も薬剤師も、それぞれの方針があるから安易に批判はすまい。
ただ、お客様や患者の側は自身の方針を決めて、それに沿ったお店や店員を定めておいたほうが良いとは思う。
お客様は、救急に携わってるそうだけれど、薬には詳しくない模様。
同じく医療に携わつていても、現場で必要とされる能力や知識は変わる。
だからこそ、現場でもSNSなどのネットでも情報交換は積極的にしていきたいところ。