お客様から「CMでやってる龍角散ってヤツをくれ」と注文され売り場を案内したけれど、「テレビで見たのと違う」というので「昔からある薬です」とお話してみたものの知らない様子だった。
主訴は喉のイガイガとのことで、『龍角散ダイレクト』の方かなと思ったが、それも違うという。
あとは、指定医薬部外品の『龍角散ノドローチS』か、それともお菓子の『龍角散ののどすっきり飴』か。
喉のイガイガ程度ならお菓子ののど飴でも良いとは思うものの、『龍角散ダイレクト』の効能を説明すると購入された。
それこそ龍角散ダイレクトは、昔は『クララ』という商品名であったのだが、パッケージが変わって覚えていないという人が多いかも。
お客様には、体内が乾燥している可能性をお話して、上半身を潤す『麦門冬湯』を紹介し、乾燥の原因として胃炎を起こしているとも考えられるため、消化に良いものを食べ、積極的に温かい物を飲むよう勧めた。
冬場に限らず、人間は温かいほうが活動しやすいので、夏場のエアコンの効いた部屋などにいると対抗しようと内臓に熱を起こし、でも人間の体は機械ではないから調整が上手くいかずに胃炎などを起こしてしまう。
だから、変に熱を出さなくても良いことを身体に教えてあげて、落ち着かせるのだ。
そうお話すると、お客様はジョギングをしていて、冷たい物を飲みがちだとのことだった。
筋肉は熱を発するが、内臓は飲食した物に左右されるので、冷えて機能が低下しているのを身体が自力で治そうとして胃熱を起こしているのかもしれない。
お客様が『ベンザブロックL』をレジに持ってきたけれど、それは割引券があるからという理由で、病院から処方された血圧の薬を服用しており、内容が分からないというため症状を確認したところ、喉の痛みと声枯れが主訴だった。
総合風邪薬のうち血圧に関係するのは咳止め成分であることが多いので、主訴からすれば咳止めは不要だし避けたほうが良いことをお話して、喉を潤すのに『麦門冬湯』と『ストナ去痰カプセル』を案内したところ、粉は苦手とのことから後者を購入された。
お客様は「普通の血圧の薬」と言っていたけれど、作用の仕方が色々あることを説明し、お薬手帳の重要性をお話しした。
例えば血圧を下げる薬と言っても、血管を拡張するのと血液をサラサラにするのとでは体の中でやってることが違い、作用の仕方が違えば気をつけるべき副作用が変わり、それによって影響する薬の選定が必要となる。
そしてお薬手帳には疾患名までは書いていないが、処方されている薬を見ればある程度の推測ができるし、場合によっては医師の治療方針が見えてくる場合もあるため、それを邪魔しない判断もできる。
なによりお薬手帳があれば、出先で事故に遭ったら処置を早く始めるのに役立つし、災害などで避難しなければならない事態で家に帰れなくても、特例として医師の診察を受けずに必要な薬を受け取ることが可能になる。
だから、病院に行く行かないに関わらず、普段から持ち歩いたほうが良い。
お客様が『ルルアタックTR』と『ユンケル黄帝液DCF』を選びレジに持ってきたけれど、ヒアリングしてみると家族が発熱と悪寒があり咳は少しだけというため、総合風邪薬より鎮痛剤が適応することを伝えたうえで、『麻黄湯』を用いたり体の下支えに同じくノンカフェインの『ヒストミンゴールド液プラス』を提案した。
すると、『麻黄湯』と『ユンケル黄帝DCF』の組み合わせでお買い上げとなった。
なんにしても、体を休めるのには睡眠の妨げとなるカフェインは入っていないほうが良い。
お客様から「葛根湯は?」と尋ねられ、タイミングとしては過ぎている事をお話した。
よく「風邪の初期に葛根湯」と言われるが、発熱していたらもう遅い。
この場合の初期とは、「寒気がした……気がする」とか「頭が重い……かな?」という段階のこと。
そして、体を休めるのと同様に内臓を休めることが必要なので、ドリンク剤を飲ませるのならば食事は不要と伝えた。
消化にもエネルギーを使うから、余計なエネルギーを使わずに体には治すことに集中してもらうのだ。
お客様が『パブロンPro』を購入されるさいに咳の有無を確認すると、他の店で薬剤師から「良く効く」と勧められたそうだ。
でも、患者であるご主人の主訴は喉の痛みだけで咳は無いそうだから、鎮痛剤をと提案したけれど、なんだか不信がられてしまった。
むー(-_-;)