お客様から佐藤製薬の『セロナ軟膏』を求められ置いていないことを伝えたうえで、『ロコイダン軟膏』が同じヒドロコルチゾン酪酸エステルという成分のステロイド剤であることを教えようとしたけれど、「急いでる」と一言だけ発して踵を返した。
そんなお客様の背中越しに「特定の銘柄を足で探すのは難しいと思います」と伝えたけれど、振り返りもせずお店を出て行ってしまった。
佐藤製薬はメジャーだけど『ロコイダン軟膏』を置いてる店で『セロナ軟膏』まで置いてることは少ないから、どうしても欲しいのならネット通販の方が話が早いのだが、聞いてもらえなくて残念。
ご本人が気に入っていて使いたいのか、それとも人から頼まれて探しているのか。
いずれにしても、市販薬は製品に使って良い成分、認められてる成分量などの規定が細かく決められているから、驚くほど素晴らしい効果のある薬なんて存在しないし、処方内容も似たりよったり。
もちろん、飲み薬なら体内での溶け方や吸収性、塗り薬なら効果の持続性や浸透力といった違いはあるけれど、本当にソレが体感できるほどかは分からない。
だから、売り場面積が限られている以上、同じ処方か似た処方の薬を、わざわざメーカー違いで2種類以上置くなんてことは、よほどの大型店でもなければあり得ない。
足で探すのは無駄足なので、最初に買ったお店に行くか、その店舗の系列の運営会社のお客様相談室に取扱店を問い合わせるか、メーカーに卸しているお店を教えてもらえないか相談してみるか、やはり通販を利用した方が確実。
スマホが普及して、電話が個人の手元にあるのに、いずれもしないで足で探してるのが不思議なくらいに思える。
あと、用途が分からないけれど軟膏とクリーム剤、あるいは液剤やジェルなどとの使い分けを知っているかも疑問。
厳密には皮膚疾患の原因や状況によっても変わるけれど、基本的には塗り薬の剤形は「好み」で選ぶものではない。
ベタつくからと敬遠されやすい軟膏は、油分によって患部を絆創膏で覆うように保護してくれるので、患部が服とこすれやすい場合や、指先のように何かに触れてしまうのを防ぐのが目的。
クリーム剤は、意外と強い人間の皮膚のバリア機能を破って浸透させるように調整されている物が多いから、症状が激しく出ている場所にピンポイントで使うのに向いている。
液剤やジェルなどは塗り拡げやすさから、患部が広範囲の場合に便利だ。
患部が複数の場所ならば、一つの薬でなんとかしようとするよりも、まず広範囲に液剤のような拡げやすい薬を塗ってから、保護の必要な場所に軟膏を、症状の強く出ている場所にクリームを使うという方法も考えられる。
急いでいたんじゃ仕方が無いけれど、こちらはこれくらいお話したいことがあったのですよ( ´Д`)=3
お客様が『ハイチオールCプラス』と『ハイチオールCホワイティア』を比較していて前者を購入されるので、後者の方がパントテン酸カルシウムが少し濃くなって、1日の回数が3回から2回に、1日の錠数が6錠から4錠に減っているので、飲みやすさの点で良いのではと伝えたところ、同じような処方で他に安い物があるか尋ねられたため、『ネオビタホワイトCプラス』を紹介した。
代謝に関わる補酵素のパントテン酸カルシウムが無くなってしまう代わりに、血流を良くするコハク酸d-α-トコフェロールが他の栄養素を運びやすくしてくれること説明した。
ただ、血流を良くするために体温を高めに保つ工夫として、しっかり入浴したり温かい物を積極的に飲む方法もあることをお話したところ、今回はそのままで変更ということにはならなかった。
選択するのには情報が必要だろうから、質問したからといって紹介された薬に乗り換える必要など無い。
なので、質問があれば薬は買う前にどんどんしてもらいたいと思う。
お客様がビタミンB剤に比べて効果を体感しにくいというので、ビタミンBは皮膚の材料となる以外にも神経の働きに関わり、どちらに使われるかまではコントロールできないことを説明し、効果を調べるためにはスマホを使った自撮りでの経過観察を勧めた。