貼り薬の冷感・温感は意味が無い? 強い痛みには強い薬から

 お客様が『コッコアポ EX』(防風通聖散)のお試し版と『ハリックス55温感』をレジに持ってきたさいに、前者は効果を試すというより飲んで不具合が起きないかを確かめる物と伝え、使うとなれば3ヶ月以上の連用が必要と説明した。
 また、後者は鎮痛薬としては弱めで慢性症状に適してることをお話しすると、主訴は腰痛で「温めたら良くなると思って」選んだそうだが、実際に温めることは試していないとのことだった。
 冷感・温感というのは、あくまで感じるだけで実際に冷たくしたり温めたりしている訳ではない。
 肩こりなどのように温めて痛みが和らぐようなら、鎮痛剤を使わずにカイロなどで本当に温めてしまったほうが良い。
 今回は急性で痛みも強めのようなため、鎮痛効果が高く浸透力も高いジクロフェナクトリウム製剤の『フェイタスZαジクサス』を案内して変更となった。
 血液中にも入っていくので念のため内服の鎮痛薬の使用を確認すると、頭痛になると服用することがあるというので、『フェイタスZαジクサス』を貼るときには服用しないようお話した。
 その頭痛は、普通は肩こりと連動してるようなので、上半身を温めて血流を良くする『葛根湯』も使えることを説明したところやたらと感心された。

 お客様が『フェイタスZαジクサス』を購入されるさいに症状をヒアリングしたものの、詳しいことは教えてもらえなかったため、ステップダウン方式が望ましいことだけ伝えた。
 ステップダウン方式というのは、捻挫や打撲やギックリ腰などの急性症状の初期に強めの薬を使い、しかし良く効くからといって連用するのは体にも負担になるため、症状の改善に合わせて薬も弱い物に乗り換えていく使い方である。

 お客様が『スキュータムA』をレジに持ってきたさいに、比較的弱い薬であることを伝えると、ご主人が捻挫だというため内服薬を使っていないことを確認したうえでジクロフェナクトリウム製剤の『ジクロファインZ』に変更となった。
 数時間前のことだというので、薬を使う前に氷水で感覚がなくなるまで冷やしてから使うよう勧めた。
 患部は異常を脳に知らせるために、痛みの伝達物資を生成するのだが、量の調節ができず作りすぎてしまい、その量が多いと後々まで痛みが長く続くことになる。
 そこで氷水を使い極端に冷すことにより患部の身体機能をわざと低下させ、痛みの伝達物質の生産量を減らしておくのだ。
 お客様には、痛みが和らいだらステップダウン方式もあることを伝えた。

 お客様が『アンメルツヨコヨコ』を購入されるさいに弱めの薬であることを伝えると、主訴は肩こりというので適応することと、『葛根湯』も使えることをお話しすると驚かれた。
 効能にも「肩こり」と書いてあるのだけれど、気がついていない人は多い。
 そして、鎮痛剤としては弱い薬を捻挫で使う人もいるため、こうして声をかけていることを伝えた。
 声をかけるのは、適応や安全性についての確認のためで、何かを売りつけようという訳ではありません。

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