外国人のお客様から『アクトス錠』なる物を求められ調べてみたら、糖尿病治療薬のピオグリタゾン塩酸塩と分かり、市販されていないことを説明した。
本人は日本におらず、シンガポールで購入されたという。
パッケージに日本語が書いてあったので、日本でも入手できると思ったようだ。
日本の医療用医薬品を、シンガポールの薬局で売ってるってことなのか?
子供を連れたお客様が『バファリンルナJ』を手にしてから、下痢止めを求められ売り場を案内すると、今度は『セイロガン糖衣A錠』を手にされたので、『正露丸』とは処方が異なることを説明した。
『セイロガン糖衣A錠』を、単にあの独特の匂いのしない甘い錠剤にしただけと思っている人が多いけれど、消毒作用があって腸の働きも整える木クレオソートを含めて基本は5つの成分で構成されている『正露丸』から、痙攣を抑える成分と炎症を抑える成分を抜いてあるので、シクシクとした腹痛を伴う場合には力不足となる。
もとより、腸には味覚と嗅覚もあり、匂いが薬効に必要なのだ。
子供の下痢止めとして備えておきたいとのことで、実は大幸薬品の『正露丸』も『セイロガン糖衣A錠』も、腸の働きを止める成分は入っていないため、下痢を止める目的であればロートエキスの入ったキョクトウなど他社の『正露丸』のほうが適している。
ただし、そもそも『正露丸』の目的は戦地に赴く兵士の食中りを防ぐための薬で、下痢をピタリと止めるよりも原因となっている悪いモノは早く排泄したほうが良い。
それを下痢止めを目的に使う人がいるから、他社の『正露丸』にはロートエキスが入っている訳で、同じ名前の薬でも目的によって使い分けの検討が必要なんである。
あの匂いを子供が嫌がるのは仕方がないから、『エクトールDX』が昔ながらの『赤玉』と同じ処方であることを伝え、他に『小中学生用ストッパ下痢止めEX』も紹介したところ、前者をお買い上げいただいた。
お客様に、子供を連れて薬を買うのは良い事と伝えたら、苦笑いされてしまった。
まぁ、余計なお世話ではある。
でも、大人でさえも相談して薬を買う人は少なく、よく分からないままパッケージやテレビCMなどを根拠に選んだり、相談してもらえても自身の不調を言葉にするというのは案外と難しいから、そのやり取りを子供に見せておくというのは大事なこと。
今回のように、『正露丸』と『セイロガン糖衣A錠』は別物、同じ名前の『正露丸』でもメーカーが異なると別物、というようなことは、こちらから情報提供しないと質問しようとも思わないだろうから、こういう機会に子供に体験してもらいたいんである。
お客様が『バファリンA』を持ってきたさいに、末梢神経の痛みに向いてることを伝えると、少し迷われたけれどそのまま購入された。
用途は頭痛で、ズキズキする偏頭痛タイプだというから、胃の不具合と連動していると考えられるため、その頭痛がした時には食事を消化の良いものに切り替えるよう勧めた。
漢方薬では水分代謝を改善するものが適応して、『呉茱萸湯』や二日酔いにも使われる『五苓散』を用いる。
肩こりと連動することが多い締め付けられるような緊張型頭痛には上半身を温めて血流を改善する『葛根湯』が候補となり、朝方に頭が重くて午後になるにつれて楽になるようだと高血圧が疑われるので『釣藤散』の出番となる。
若いお客様が『第一三共胃腸薬プラス』を購入されるさいに、胃腸が弱っている人向けであることを伝えると、頼まれ物とのことで本人の症状は分からず、いつも使っているというお話だった。
単純に、『第一三共胃腸薬』に「プラス」と付いてるから「何か得なのだろう」と考えて選ぶ人もいるので、本当は症状を確認したいところ。
胃の状態を簡易的に鑑別する方法として、お湯と水のどちらを飲むと楽になるか試してみるのを教えた。
お湯を飲むと楽になるようなら、血流が良くなると改善するということでもあるので胃が冷えているか疲れていると考えられ、胃酸の出過ぎを抑えるついでに胃腸の機能を低下させてしまうロートエキスの入っていない『第一三共胃腸薬プラス』が適応する。
水を飲んで楽になるようだと、胃が異常に働き過ぎか胃炎を起こしている可能性があるため、ロートエキスの入っている『第一三共胃腸薬』の方が向いている。
また、胃腸薬は成分の種類が多く、他の薬との飲み合わせや持病についても気をつけなければならないことをお話しすると、お客様からは、本人に「伝えておきます」とのお返事。
よろしくお願いします。