やや高齢のお客様が『葛根湯』をレジに持ってきたさいに、適応しないケースをお話ししたところ興味をも持たれたようなので、発熱した風邪の中期に用いる『麻黄湯』と、熱が下がってからの後期に体を支える『柴胡桂枝湯』を案内した。
風邪の初期に使われる『葛根湯』は上半身を温めて治すのが目的だから、悪寒がしたり鼻水が出ている時には有効だけれど、喉が痛いようだと余計に痛くなるし、咳が出ていると激しくなり、発熱してからではもう遅い。
喉が痛むような場合には、反対に上半身を冷す『銀翹散』も紹介した。
すると主訴は鼻づまりと分かり、鼻水と行ったり来たりするようなときに適応する『葛根湯加川きゅう辛夷』と、鼻が詰まる一方の場合に用いる『荊芥連翹湯』に、詰まった鼻汁が喉に落ちてくるといった胃の不具合と連動してるさいの『チクナイン』(辛夷清肺湯)を案内したところ、『荊芥連翹湯』が合いそうなので、そちらを試していただくことになった。
お客様には、薬は症状に合わせたコーディネートが必要なことを説明し、店頭で相談していただくのが良いことを伝えた。
お客様が『エスタックイブNT』や『ルルアタックNT』などを見ていたところに声をかけてみると、病院で花粉症に『フェキソフェナジン』が処方されて、効かなかったという。
咳は無いそうなので風邪薬は適応しないことを伝え、服用期間がまだ4日目というため、花粉に体を反応させないようにして予防薬として効果を発揮するフェキソフェナジン製剤の『アレグラFX』やエピナスチン製剤の『アレジオン』は、人によっては効いてくるまでに一週間以上かかるケースもあることを説明した。
花粉症のはずなのに風邪薬を見ていたのも謎だけれど、効かなかったら病院や調剤した薬局に相談しないというのも不思議。
しかも、処方された薬の特性を知らないまま市販薬を自分で選ぶことに不安は感じないのだろうか。
世の中には、知らないこと自体に不安を感じる人がいる一方、大多数は「知らないから不安にならない」から「知らないことは疑問には思わない」ということなのかもしれない。
店頭では、できるだけそのキッカケを提供したいとも思う。
お客様には、点鼻薬の併用を提案したうえで処方された『フェキソフェナジン』を継続するよう勧めたところ、今度は毎日服用する薬なせいか使い切るのが不安になったらしく『アレグラFX』を購入された。
ありゃん(;´∀`)
お話の加減が難しい……。
とにかく医師にも薬剤師にも、今のところ効いていないことを相談しないまま市販薬にスイッチするのは好ましくないので、フィードバックの意味でも現状を伝えるよう勧めた。
このフィードパックというのは大事で、人間の体は機械ではないから処方した薬が100%効くということはありえない。
処方した医師の頭には他の薬の候補も並んでいたはずだから、本来なら継続するか他の薬に乗り換えるかは相談したほうが良い。
病院に問い合わせにくいのであれば、処方してもらった調剤薬局に相談してみるという手もある。
そしてこのフィードバックというのは、自身のためだけではない。
処方した医師や調剤した薬剤師にとっても、製薬メーカーにとっても、それが経験やデータの積み重ねになる。
患者もまた、医療の発展のために重要な役割を担っているんである。
子供を連れたお客様が『パブロンKids』をレジに持ってきたけれど、主訴は鼻づまりで発熱や咳は無いというため、『ムヒのこども鼻炎シロップ』を提案したところ、特に今は症状の出ていない上の子供にも一緒に使おうと思って選んだというので、家族でも体質や症状が違うことを考えると、薬はその時々に合いそうな物を検討した方が良いとお話した。
そして鼻づまりは、鼻の奥の血管が炎症して膨らみ上半身に熱が篭もっている状態なので、その熱を循環させるために下半身に厚着をしたり入浴したりするだけで回復する可能性をお話すると、本日はお帰りになった。