アセトアミノフェン製剤は「安全・安心」な解熱鎮痛剤ではありません

 やや高齢のお客様が『タイレノールA』と『アレグラ FX』を購入されるさいに、前者は病院で処方される『カロナール』と同じなのか尋ねられたので「その通りです」と答えた。
 どちらも解熱鎮痛成分のアセトアミノフェン製剤で、『タイレノール』という名前は正式な化学名「N-acetyl-para-aminophenol」に由来し、「tyl」と「enol」という語尾と語尾をくっつけて命名したそうだ。
 もう片方の『カロナール』は、熱や痛みが「軽くなる」の駄洒落だとのこと。
 なんで、市販薬のほうが化学名で医療用が駄洒落なのか(笑)
 ちなみに、国際的には『パラセタモール(paracetamo)』と呼ばれている。
 アセトアミノフェンは中枢神経に働きかける一方で末梢神経への効果が弱く、患部が腫れるといった炎症には効かないとされている。
 また、痛みの伝達物質であるプロスタグランジンが胃の保護を担っていて、他のイブプロフェン製剤などはこの物質の生成を抑制するため胃を荒らしてしまう副作用があるのに対し、アセトアミノフェンは胃にも優しいと一般的に認識されている。
 そして、テレビ番組や雑誌などでもインフルエンザによる発熱さいには他の鎮痛剤だとインフルエンザ脳症を起こす可能性があるため、アセトアミノフェンのほうが安全と紹介されたことから、この薬でないと安心できないという患者さんもいる。
 しかし、比較的安全のイメージが先行しすぎているせいか、肝臓に対する毒性が高いことは、あまり知られてないように思える。
 特に私のようにお酒が大好きな人や、栄養状態が悪い人の場合はその毒性が強く出る恐れがあるから、注意が必要な点では決して他の薬と変わるところは無い。
 今回のお客様へは、ここまで細かいお話はしなかったのだが、他にもっと大きな問題が発覚。
 花粉症の薬である『アレグラFX』は、予防薬として使うのが効果的なため、花粉が飛んでいようといまいと毎日連用する必要性を知っているか確認したところ、「知ってる」というお返事だったのだけれど、1日2回のところを1回しか服用していないと分かったのだ。
 朝夕の2回服用するのは、血中濃度を一定に保つことで効果を持続するという目的と、花粉は朝に空へと舞い上がり午後にかけて降りてくるサイクルに合わせてのもの。
 ちゃんと2回服用しなければ、意味が無くなってしまう。
 そう説明して、花粉症は腸の働きとも関係することをお話した。
 花粉症はウイルスなどの敵と違って、本来なら攻撃する必要が無いのに敵と誤認して自己防衛機能の暴走によって起こる症状。
 その敵味方の識別をしているのが、脳細胞と同じ細胞を備えている腸なので、食べすぎて腸が消化に忙しくなったり、お腹周りが冷えて機能が低下すると、敵かどうかの識別が正確にできなくなってしまう。
 だから、腸が正常に働きやすい環境を整えるのが花粉症を軽減する養生法となるので、消化に良い食事に切り替えたり、しっかり入浴をして下半身に厚着をしたりといったことを重ねて行なうのが望ましい。
 もし環境的に入浴できずシャワーで過ごすのであれば、太い血管の通っている背中側に重点的に浴びると良い。

【第2類医薬品】タイレノールA 20錠
タイレノール

 お客様が風邪薬の棚を見ていたところに声をかけると、微熱が1週間くらい続いており、当初に他の店で勧められた『葛根湯』を飲んでいたとのこと。
 現代薬の『タイレノール』と、漢方薬としては熱が高くなった時に使う『麻黄湯』を紹介したうえで、微熱のときや熱が下がった後の体力の回復に用いる『柴胡桂枝湯』を案内した。
 すると、お腹もゆるいというお話があったので、胃腸炎にも用いる『柴胡桂枝湯』をお使いいただくことになった。
 病院の受診も検討した方が良いので、微熱が起きた初日の日付をメモし、この後の体温も記録しておくよう勧めた。

 若いお客様から『バルサン』を求められて、水を使わないタイプを希望されたので火災報知器を心配してのことかと思ったら、アパートの床下に焚きたくて、容器を横に倒して使うつもりと分かり、ゴキブリ死ななくても逃げ出すから、そういう使い方はしないようにと説明した。
 それでも水を使わず、蓋を擦って発動するタイプの『バルサンプロEX』をお買い上げいただいた。
 さっきの『アレグラFX』の件といい、お客様と対話しないと、どんな使い方をしているのか、あるいはするつもりなのか分からなくて油断できない(;^ω^)

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