お客様が空間除菌の首掛けタイプ『ウイルスシャットアウト』2枚をレジに持ってきたので、消費者庁が所管する国民生活センターでは「効果が分からない」と注意喚起されていることを伝えたけれど、「気持ちだから」と購入された。
思わず、「はい、気持ちだけです」と答えてしまった(^_^;)
いや、実のところ気持ちだけでは済まない。
空間除菌は、いわゆる「不安ビジネス」と呼ばれる実態の無いところにビジネスチャンスを見出す悪徳商法で、買ってしまうと事業者は儲かると判断して商品を流通させるし、それを実績として広告に利用してしまう。
例えば、医療機関に送りつけておいて「多くの医療機関で採用されてます」なんてことを恥ずかしげもなく喧伝しているメーカーもある。
個人の気持ちだから良いとだろうと見過ごしていると、ウイルス対策の根底を脅かして実害のある本物の危険を招いてしまうのだ。
子供を連れたお客様が『ウィルスシャットアウト』を買うか迷っている様子で、「学校につけさせようか」という声が聞こえたため声をかけて、効果は期待できないことをお話した。
もっともらしい実験結果をパッケージに載せている商品もあるが、それはあくまで密閉された実験でのこと。
部屋に据え置きにしておくタイプでさえ、人が出入りして空気が流れてしまうから、実験データは参考にもならない。
ましてや首から下げるタイプや胸元に付けるスティックタイプなど、オープンスペースで役に立つはずもない。
もし効果があるほどの濃度であれば、喉や目が痛くなったり咳が出たりと健康被害が起きるだろうし、安全な濃度なら効果は望めない。
お客様には、休み時間ごとに水を飲むことと手洗いをするのが一番の対策になるとお話したところ、子供が手を洗う仕草をしたので、指の間と手首までも洗うよう教えた。
すると子供が、「手首かぁ、手首を忘れるんだよォ」と言っていて、お客様からは「いい話聞けたね」と言ってもらえた。
子供を連れたお客様が『マキロンs』を購入されるさいに、念のため『デシンA』も紹介して比較を説明した。
消毒薬にも性格があって、両者の消毒成分は同じだけれど、『マキロンs』には皮膚の再生を促す成分が、『デシンA』には弱い麻酔薬が入っていて傷口の疼きを抑える。
だから、子供に使うのであれば傷口の疼きを抑えるほうが良いという考え方もできる。
すると、子供の手にささくれができてるとのことで、塗り薬は病院から処方されてるそうだ。
医師から別途、消毒薬が必要と言われていなければ水洗いで充分なことをお話した。
消毒薬に限らず、同じ用途の薬でも成分が違えば効果も異なる例として、虫刺されの『ムヒSクリーム』と『液体ムヒS』とでは、前者は痒み止めとしては弱めの薬で、後者はステロイド剤が入っており一段回飛ばして強めの薬であることを伝えると驚かれた。
お客様からは、「話を聞けて良かった」と言ってもらえた。