常連の夫婦のお客様が来店し、ご主人からは疲労の相談を受け、ビタミン剤の『新パワーアクトEX』と『キューピーゴールドαプラス』を案内し、摂った栄養を行き渡らせるための血流が大事とお話したところ、後者の購入を決められた。
また、季節の変わり目での気温の変化に体がついていけない場合に、ダメージを受けやすい脾胃と肝を助ける『柴胡桂枝湯』も紹介した。
奥さんは胃痛とのことだったが、下痢や吐き気などは無いというため内臓の働きを抑えるロートーエキスの入った胃薬よりも漢方薬の方が良いとお話して、痙攣を鎮める『芍薬甘草湯』を案内しようと思ったものの、ストレスが思い当たるとのことから気持ちの昂りを降ろす『半夏瀉心湯』を試していただくことになった。
お客様から奥さんの不眠の相談を受け、眠りが浅く痩せ型で虚弱のようなため『加味帰脾湯』を紹介し、保険の適用薬でもあるから病院を受診してみてはどうかとお話すると、以前に『当帰芍薬散』を自身で選んで効かなかったようだとのことだった。
血流を改善する『当帰芍薬散』が適応しなかったとなると、もう少し精神寄りに振ったほうが良いかと思い、肩こりというお話もあったので『加味逍遥散』を試していただくことになった。
お風呂は入ると疲れるので嫌がるというため、温まった体が冷えるていくのが質の高い眠りに必要と説明し、太い血管と太い神経の通っている背中側にシャワーを集中的に浴びる養生法を教えた。
髪や体を洗っている間もシャワーを首から腰にかけて浴びれば太い血管が温まり、ただ頭や体の正面から浴びるよりも血液の循環が良くなるのと、太い神経へのシャワーの刺激がマッサージとなってリラックス効果を生む。
マッサージというと力を入れがちだけれど、筋肉をほぐすのではなく神経をリラックスするためならば、優しく撫でるだけでも良いから、シャワーの刺激でも充分。
今回は眠りが浅いというお話から脾胃の問題を最初に考えたので『加味帰脾湯』を候補に挙げたが、他には『桂枝加竜骨牡蛎湯』も考えられる。
同じ不眠でも、眠りにつくまでに時間がかかる場合には肝の働き過ぎを抑える必要があるから、『柴胡加竜骨牡蛎湯』や『抑肝散加陳皮半夏』を使い、特に怒りっぽく、それが持続する人に向いているのだけれど、本人に勧めるときの説明を工夫しないと、その場で怒らせてしまいかねないのが難しいところ。
途中で目を醒ましてしまう中途覚醒は、腎と関係しており、高齢者だと腎機能の衰えでもあるため『牛車腎気丸』など腎を養う漢方薬を使うのだが、幼児ならば内臓が未発達なのが原因だから『小建中湯』を用いる。
そして、精神不安によるイライラや悩みすぎて眠れなかったり眠りが浅くようになるときには『加味逍遥散』の出番となるが、心身ともに疲労困憊で自分の心臓の鼓動さえも気になるとうい状態ならば『酸棗仁湯』の方が向いている。
人間の体は機械ではないから、これらの不眠の状態が折り重なっているというケースもあるので、今回のように代理の人を介して選ぶのは実のところ、かなり難しい。
できれば、本人を連れてきていただくか、電話でヒアリングできるのが望ましい。
やや高齢のお客様が『太田胃散A錠』を2個レジに持ってきたので、散剤とは処方が異なり、胃を助ける健胃成分が少なくなっていることを伝えた。
疲労が思い当たるのであれば、散剤の『太田胃散』の方が向いている。
剤形が変わると処方内容も違うというのは市販薬にはよくあることなので、剤形を好みで選んでいないかの確認は怠れない。
また、『太田胃散』や『キャベジンコーワα』などの総合胃腸薬は、血圧を上昇させたり、鼻炎薬の効き目を落としてしまうことがあるので、それらの薬を使っていないか確認した。
尋ねた直後には「大丈夫です」というお返事だったけれど、他の薬とぶつかりやすいことをお話したら、血糖値を下げる薬を服用していると分かった。
しかし、肝心の薬の名前は覚えておらず、お薬手帳も持っていないため、今回購入するのは一個になった。
お客様には、市販薬も担当医や調剤している薬局の薬剤師に使用の可否を確認した方が良いことと、薬は症状に合わせて選んだ方が体への負担が少ないことを伝え、市販薬の成分表示をお薬手帳に貼って処方薬と一元管理するよう勧めた。
お薬手帳は市販薬を買うときにも必要だし、出先で事故に遭ったら救命処置の情報源となり、大規模災害で避難をしたときには特例として医師の診察を受けずに必要な薬を受け取ることができるから、普段から持ち歩いたほうが良い。
自分は健康でたいした病気をしたことの無いという人も、その「基礎疾患が無い」ということ自体が重要な情報だから、ぜひお薬手帳を作っておいてもらいたい。