お客様が『ユースキンi』をレジに持ってきたけれど、痒みが強く無意識に掻いてしまうというため、ステロイド剤を提案した。
すると『ムヒSクリーム』を使って効かなかったとのこと、『液体ムヒS』のほうならステロイドが入ってることを説明した。
同じ名前の剤形違いで処方内容が異なるというのは、市販薬にはよくあることなので注意。
『ユースキンi』では、『ムヒSクリーム』に鎮痒成分にクロタミトンが加わった程度なので、あままり効き目に差は無い。
ただ、患部に掻き傷があるということから、メントールの入った『液体ムヒS』では傷口にしみてしまうかもしれず、それに患部の場所を確認すると服と擦れる場所のようだった。
そもそも液剤は患部が広範囲の場合に塗り拡げるのが便利ではあるものの、クリームや軟膏とも使い分けがある。
クリームの利点はベタつかないことだけではなく、人間の皮膚のバリアーが強力で薬剤が浸透しにくいため、そのバリアーを破るよう調整されているから、症状が激しい場所に適している。
一方、ベタつくのことから避けられることの多い軟膏は、そのベタつきによって服とこすれたり無意識に患部を触ってしまうのを防ぐのに役立ち、絆創膏を貼りにくい場所の保護に向いている。
お客様にもそう説明して、『プレバリンα軟膏』を勧めると、お買い上げいただいた。
そして、入浴すると痒くなるというお話があったので、追い焚きする方法とシャワーで済ますための浴び方を教えた。
というのも熱めのお風呂に入ると血管は収縮し、出た後には血管が一気に開いて血液が血管の内部を擦ることにより炎症を起こして痒みを強めることになるからだ。
温めのお湯に入ってから追い焚きすれば、血管の収縮を防いで、上がった後にも血液が急激に流れることはない。
入浴せずにシャワーで済ませるのも一つの方法だけれど、そうすると老廃物を回収して栄養を運ぶ血液の流れが悪いままとなり、患部の修復には好ましくない。
そこで、太い血管の背中側に集中的にシャワーを浴びると、血流は良くなっても入浴することで血管が収縮する弊害は避けることができる。
若いお客様から、顔のかぶれの相談を受け、病院から処方された薬があるそうだが、塗り薬も内服薬も内容が不明で抗生剤もあったというため、医師がどのように判断したか分からないと市販薬を選びにくいことを説明した。
顔にも塗れる痒み止めとして『イハダプリスクリードi』を紹介したうえで、処方された薬の確認を勧めると、お帰りになった。
市販薬を買うときにも、お薬手帳は持ってきてもらえると二度手間が省けます。
それにお薬手帳を普段から持ち歩いていれば、出先で事故に遭って気を失っている間にも持病の有無を医療者に確認してもらえる情報源となるし、持病がある人ならば災害時に避難したさいに医師の診察を受けなくても使っている薬を受け取ることが特例で認められている。
若お客様から、陰部の痒みの相談を受け、『ベトネベートクリームS』を使っていたというため、皮膚疾患にはステロイド剤を最初に使って、症状が穏やかになってきたら薬も弱い物に乗り換えていくステップダウン方式が良いものの、デリケートな場所には慎重にしなければならないことを説明した。
また、陰部の痒みが真菌性の場合だと、ステロイド剤で炎症を抑えても副作用により患部の免疫力を落としてしまい、悪化する危険がある。
患部の状態教えていただき、皮膚の色は赤みを帯びたりと変わっていないとうため、ひとまず真菌性ではない様子。
とはいえ皮膚の薄い場所でもあるため、ステロイド剤の使用は中止してもらい、『デリケアM’sクリーム』と『フェミニーナ軟膏』を案内して、クリームと軟膏の使い分けを説明したうえで前者をお買い上げいただいた。
そして、使用開始日をメモして2週間ほどで改善しなければ、病院を受診するようにと伝えた。
「いつか行こう」「悪くなったら行こう」は絶対に行かないし、薬を使い始めた日を覚えている人は少ないから、先に病院に行くことを決める日を設定しておくのだ。
また、今回は患部は見た目の変化が無かったけれど、赤味があったり荒れている場合には、スマホで毎日患部の写真を撮って改善が見られるか記録しておくと、自身で判断するのにも病院に行くのにも役に立つ。
特に、突発的な蕁麻疹や、お風呂上がりなど特定のときにだけ発症する場合には、病院を受診したときに発症しているときの状態を確認してもらえる。