ニキビの薬の選び方と、そもそもニキビじゃないカモ?

 カップルのお客様が来店し、彼氏が彼女とお話しながらニキビの塗り薬を見較べていて『ペアアクネクリームW』と『メンソレータムアクネス25メディカルクリームc』をレジに持ってきたので、どちらも同じ処方だから患部の状態によって使い分けるのならと『クレアラシル』を案内した。
 使うのは彼氏の方で、主訴はもちろんニキビ。
 一般に「大人ニキビ」と呼ばれるものと「成長期のニキビ」とでは対処が変わり、先の二つのニキビの薬はイソプロピルメチルフェノールで患部を殺菌しつつイブプロフェンピコノールにより炎症を和らげるのに対して、『クレアラシル』には非ステロイドでありながらステロイド剤に似た骨格を持つ抗炎症成分であるグリチルリチン酸が入っており、レゾルシンが皮膚をわざと腐らせて新陳代謝を促し、硫黄が殺菌とアクネ菌の餌となる皮脂の分泌を抑える。
 こうしてみると、『クレアラシル』を皮脂の分泌が抑えられて患部が乾燥するので、大人が使うと皮膚の状態を悪化させてしまう可能性がある。
 ただ、大人だから皮脂が少ないとは限らないため、炎症が強い患部にピンポイントで使うという方法はある。
 いずれにせよ、同じ処方の『ペアアクネクリームW』と『メンソレータムアクネス25メディカルクリームc』を二つ購入する意味は無い、『メンソレータムアクネス25メディカルクリームc』を『クレアラシル』に変更して購入された。
 お風呂には入っているそうだから、季節は暑くなってきてるけれど、血流によって栄養を運ぶのと老廃物の回収の為に続けるよう勧めた。
 また、ニキビの原因となっるアクネ菌は食中毒の原因菌の繁殖を抑制してくれる有益な菌でもあり、皮脂を洗い流しすぎると他の菌に対するバリア機能が低下するのを避けるために、洗いすぎない洗顔方法も教えた。
 とはいっても、石鹸や洗顔料などを泡立てたら皮膚にそっと乗せて、こすらずに洗い流すだけである。
 泡に汚れが吸い寄せられるので、こすってしまうと皮脂を落としすぎてしまうこととなる。
 また、ニキビは塗り薬と考えがちであるが、内服薬として『清上防風湯』を紹介した。
 保険の適用薬だから、長期戦になりそうな場合には病院で処方してもらったほうが良いし、塗り薬にしても市販されていないニキビの薬が医療用にあるので、先に病院を受診しておくことも検討するべきだろう。

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 夫婦のお客様が『セナキュア』と『ポケムヒ』をレジに持ってきたさいに、後者は『プチウナ』と較べると局所麻酔が入っていない分だけ効き方が弱いことを伝えると変更となった。
 『ムヒSクリーム』も『プチウナ』や『新ウナコーワクール』に較べると弱く、一方で『液体ムヒS』はステロイド剤が入っていて強い薬であることを例に、市販薬は剤形が変わると中身が違うことがあるのを説明した。
 ただ、『セナキュア』についてはヒアリングできなかった。
 『セナキュア』がやっているのは、患部を殺菌しつつ皮膚の表面を腐らせて下から新しい皮膚が作られるのを促す薬なので、間違えて顔などには使わないよう気をつけるように伝えそこねてしまった。
 それに、おそらく『セナキュア』を使うのだから患部は背中で、俗に「背中ニキビ」と呼ばれるブツブツができているのだろうけれど、実は原因菌によって患部の状態は異なり、場合によっては別な薬を使うことも考えられる。
 赤く小さな粒が広範囲に現れているようだとカビの一種であるマラセチア属真菌で、『セナキュア』が得意としているのがコレ。
 膨らんでいる部分の数が少なく、頂点が白くなっているようなら食中毒の原因菌でもある黄色ブドウ球菌による毛嚢炎と考えられ、『セナキュア』の殺菌剤が効かないわけではないけれど、抗生剤を集中的に使うほうが良い。
 いくつのか膨らみが分散しているようだとニキビかもしれず、その場合にはニキビの薬への乗り換えも検討が必要。
 レジに来られた段階では、そこまでの話をする余裕が無いので、薬の特性を把握したうえで選ばれたのか確認するためにも、レジに並ぶ前に相談してもらいたいところ。

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 お客様が『イソジンうがい薬』と『パブロンうがい薬AZ』を見較べていたので声をかけたところ、アズレン製剤を探してるというため後者が該当することを教えた。
 しかし容量の大きい物を探しているそうで、以前に病院で処方されたことがあり、それ以来風邪の予防に毎日使っているというので、抗炎症剤だから用途が異なることと、毎日のうがいは水道水で充分と説明した。
 すると、他のお店で『イソジンうがい薬』の大きいのはあったけど「偽物だから買わなかった」というのでメーカー名を覚えてるか尋ねてみたら、「ケンエーっていう聞いたことのない会社」だとのことだった。
 『ケンエー』といえば健栄製薬のブランド名で、消毒用品の大手である。
 昔にネットで見かけた、「彼氏が、松下電器なんて電気屋さんに就職したっていうから、別れてやった!」という小咄を思い出した。
 もちろん、大手電機メーカーのことである。

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