暑い季節でも温かい物を飲食すると、ストレスと暑さ疲れの緩和になります

 お客様が『半夏厚朴湯』を購入されるさいにヒアリングすると、使うのは初めてで主訴は喉のつかえ感というから適応することを伝えたけれど、選んだのはパッケージを見てとのことだった。
 こうして声をかけてみるのは、パッケージに書いてある用語だけで選んでいたり、ネットなどで得た情報だけで選んだりして、実際の症状には適応しない薬の可能性があるから。
 わざわざ適応するのを伝えるのは、「効くと思って使う薬は効く」ということがあるから。
 喉のつかえ感というのは呼吸をする気道が締まることから起きる症状で、おそらくは気温の変化によるストレスだろう。
 漢方では「梅核気(ばいかくき)」と呼んで、梅の種を割った時に中に入っている核の部分が喉に詰まった感覚として表現される。
 現代的には痰が絡んだ感じがするのに、咳払いをしても何も出てこない状態を指す。
 人前に出てると上がって咳払いが多くなるとか、試験などで緊張すると息苦しく感じるという人は、『半夏厚朴湯』をお試しあれ。
 それからお客様には、入浴はしてるそうなので良い事とお話したうえで、養生として暑い季節になっても温かい物を飲食し続けることを伝えた。
 人間の感情は各臓器の機能とも連動していて、「緊張するとお腹に来る」と云われるように下痢や便秘を起こすことがあるが、逆もまた然りで、胃腸に負担をかけないことと胃腸が活発に働けるよう手助けするとストレスが緩和する。
 一番手軽な方法が、入浴したり温かい物を飲食することなのだ。
 冷たい物を飲みすぎたりしてお腹を冷やすことは、寒さに震えて身を縮こませるのと同じで、それはまた緊張によって身震いすることに通じ、温まると癒やされる。
 そしてこれは、そのまま夏バテなどの暑さ疲れの対策となる。
 外気温と内臓の冷えの温度差が激しくなると、その温度差を解消するために体内に熱を作ろうとして疲労してしまうからだ。
 冷房の効いた部屋で温かい物を飲食する分には温度差が問題にならないのは、物が冷えるよりも温めるほうがエネルギーを消費するからである。
 つまりは一年中温かい物を摂取し、お腹周りを冷やさないよう意識することが大事。

 お客様が漢方薬の棚で色々と商品を手に取ってはスマホを見ていたため気にかけていたところ、『半夏厚朴湯』をレジに持ってきたのでヒアリングしてみると、友人のために『五積散』を探してるとのことだった。
 お客様自身は喉の違和感が主訴で『半夏厚朴湯』は適応することをお話したところ、「ネットで調べた」ということから詳しく訊いてみると、友人は虚弱で膝の痛みがあり、冷えが原因だと思い『桂枝加朮附湯』も探しているとのことだった。
 しかし、虚弱であるのならば『桂枝加朮附湯』よりも、『五積散』の方が合っていると思われる。
 ただ、市販で探すのは難しいので病院を受診して医師に相談したほうが良い。
 友人の膝の痛みは毎日のことで、痺れ感もあるというため冷えは関係無い可能性を説明し『疎経活血湯』も紹介した。
 お客様の症状は季節の変化によるストレスが考えられるので、気温が高くなって涼しい部屋で過ごし体の表面は冷やしても、温かい物を飲食するよう勧めた。
 すると耳鳴りもすることがあるというため、『苓桂朮甘湯』も紹介した。
 本日はいったんお帰りになられたが、翌日に友人を連れて来店して『苓桂朮甘湯』と『疎経活血湯』をお買い上げいただいた。
 見た目の印象ではあるが、友人は確かに『五積散』が合いそうだったのでネット通販で入手してみることも提案した。

 若いお客様が睡眠補助薬の『ネオデイ』を持ってレジに持ってきたけれど、使うのは初めてというのでヒアリングしたところ、鼻炎薬で眠くなったことが無いというため、その成分の副作用を利用している薬では期待する効果が得られない可能性を説明した。
 寝るのに時間がかかるのと、2時間ごとに目が覚めてしまうとのことだったが、日中に強い眠気などは無いというため、多相性睡眠の動物として当たり前だから薬でバランスを崩さない方が良いとお話した。
 人間がまとめて睡眠を取るようになったのは近代化によるもので、夜行性の動物に襲われる可能性のあった古代には短い睡眠を分散して取っていたと考えられ、現代においては人によって睡眠のサイクルはマチマチだから、無理にまとめて寝ようと思い悩むほうがストレスが溜まって良くない。
 目が覚めてスマホを見るようなことは駄目だけれど、いったん起きてノンカフェインのお茶や温めた牛乳を飲むとか、好きな音楽のうち穏やかな曲を聴くといったリラックスタイムとして活用するほうが良い。
 漢方薬をいくつか紹介し、『ネオデイ』のような睡眠補助剤は、いざとなれば使うという気持ちでいることを勧めた。
 すると、お客様はつい「余計なことを考えてしまう」というため、シンプルに心のなかで数を100まで数えるのを10回する方法を教えた。
 リラックス以上に、脳が退屈すれば眠くなりやすい。
 校長先生のツマラナイ話とかを聞いたときと同じである(笑)

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