膝を怪我したという若いお客様から、体液が出過ぎるとの相談を受けた。
ギズ口から出るジュクジュクした透明な液体は、赤色色素タンパク質であるヘモグロビンが入っていない血液で、細胞を修復する成分や雑菌と戦う白血球などだから基本的に心配はいらないものの、量が多いのは黄色ブドウ球菌に感染している可能性も考えられる。
白濁していたり色が着いてるようならば、抗生物質の塗り薬も検討したほうが良いことをお話したうえで、『ケアリーヴ』を使っていて吸収しきれないというためガーゼを交換する頻度を増やすか、ガーゼを厚めにしてサポーターや靴下を切って筒状にした物で覆う方法を提案したところ、ガーゼをお買い上げいただくことになった。
また、『バンテリンEX』も購入されるのでヒアリングしたところ、そちらはご主人が使うそうで、膝の痛みが長く続いてるというため詳しく聞こうと思ったけれど、一緒に来ているはずなのに本人は行方不明だった。
奥さんを心配して付き添うのでもなく、自分の薬を買うのまで任せるというのはどういう了見なのかヽ(`Д´)ノプンプン
いや、人様の家庭のことだから私が怒ることではないけれど。
せめて、自分の体のことは自分で面倒を見るくらいはしてもらいたいところ。
打ち付けたのか、それとも捻ったのか、温めて楽になるのか冷すと気持ち良いのか、階段を登るときと降りるときとではどちらがツライかなど、確認したいことは山ほどあって、本人が相手でなければ確認のしようが無い。
お客様には、私が子供の頃に階段から飛び降りて捻挫したと思っていたら、骨の欠片が浮く剥離骨折していた時のお話をして、長引くようであれば病院を受診するよう伝えた。
私の場合は、なまじ歩けたもんだから骨折しているとは思わず、一週間過ぎても痛むもんだから病院に行きレントゲンを撮って分かった。
お客様が、病院で医師から抗真菌の石鹸を勧められたとのことだが商品名を覚えておらず、持田製薬というので調べたところ『コラージュフルフルリキッドソープ』のようだったので案内したけれど、固形ではなくパッケージに抗真菌とも書いていないため、「確かめてくる」とお帰りになった。
商品の写真を撮っても良いですよと勧めてみたけれど、反応を示さなかった。
やや高齢のお客様から水虫薬を求められたのだが、病院を受診したことは無く皮がめくれてるというものの、それだけでは判断が難しいことを説明した。
『エクシブスプレー』を使ってみて、すぐ無くなってしまったそうで効果は分からない模様。
もとよりスプレータイプは患部にあまり当たらないから、費用対効果の面ではコストパフォーマンスがすこぶる悪い。
そのため『ダマリンL』のクリーム剤を案内すると液体を希望され、塗り広げやすいクリーム剤の利点をお話したうえで液剤をお買い上げいただいた。
液剤は手を汚さずに塗れる点を好まれる人が多いけれど、水虫の原因となる真菌は患部以外にも棲み着いている可能性が高く、液剤の容器の先っちょが尖っているせいかチョンチョンと患部に垂らすだけになりがち。
しかし本当は、たとえ患部が指の間だけだとしても足の裏全体に塗り拡げたほうが良い。
これは決して、たくさん売って儲けたいということではない。
それならスプレータイプをバンバン売ったほうが、減りが早くて儲かるΨ(`∀´)Ψケケケ
ただ、そもそも水虫は顕微鏡検査をしなければ医師でも診断が難しく、本当に水虫だとすれば1ヶ月以上は薬を使わないと治らない。
でも痒みが治まったら薬を使うのをやめてしまったり、市販薬だと一本使い終わったら次を買わずに中断してしまいがち。
今回のように買いに来られるのは珍しいし、体感として良くなっているか分からないのであれば、なおさら受診したほうが良いだろう。
もし湿疹だとしたら、殺菌成分を含んだ水虫の薬は皮膚の細胞が再生するのを邪魔して、長引かせることにもなってしまう。
水虫と湿疹の見分け方として勧められない方法には、ステロイド剤を使う方法もある。
炎症を強力に抑えるステロイド剤は湿疹には良いが、副作用として患部の免疫力と皮膚の再生能力を落とすので、悪化したら水虫だと分かる。
水虫の見分けが難しいことのお話の一つとして伝えてみたら、お客様は痒みが無いというので、やはり判断は難しいと改めて説明した。
また、一人暮らしというため判断材料が乏しい。
家族がいてお風呂マットなどを共用していると、他の家族も足の痒みを訴えているケースもある。
お客様には、登録販売者の教本には湿疹やニキビなどの項目は載っていても、水虫については載っていないことをお話した。
何故なら、診断がハッキリしていない場合には、水虫の薬を販売するのを控えなければならないからだ。