やや高齢のお客様が『防已黄耆湯』を見ていたので声をかけてみたところ、主訴は浮腫(むくみ)とのことだったのだが詳しく訊いてみると、腕の痺れ感んで手術を受けたものの良くならず、テレビで「5種類以上の薬は飲んじゃ駄目」と言っていたのを見て、アレルギーの薬以外は自己判断で止めたうえ、担当医には言っていないとのことだった。
浮腫み始めたのが薬を止めたのと時期が近いようなので、関係する可能性をお話して再受診を勧めたところ、お帰りになった。
それから、普段からお手帳を持ち歩くことと、飲むのを止めた残薬については調剤した薬局に相談するよう勧めた。
お薬手帳を普段から持ち歩いていれば、出先で事故に遭ったときに持病に気づいてもらいやすいから適切な処置を受けられる確率が上がるし、地震なんかの大規模災害に巻き込まれて家に帰れないまま避難生活になったさいにも特例として医師の診察を受けずとも必要な薬を受け取れる。
それにつけても、テレビで言っていたとかネットで見たという情報を信じて、自己判断で病院から処方されている薬を中止するのは、いろんな意味で良くないから気をつけてほしい。
医師の監督がで起きたことならば医師が責任を持つし、損害賠償が必要な事態には病院が加入している保険金から補償を受けられるかもしれないが、個人が発信した情報を自分で信じて行なったことの責任を問うことはできない。
そういう意味では、「知り合いの医療者に相談する」というのも駄目である。
知恵や知識を貸してくれても、それに基づく行為の責任は自分自身。
必ず、後からでも業務中の資格者に改めて相談して“保険”を掛けておくべきだ。
やや高齢のお客様から、ご主人のかすみ目にスッキリする目薬をという要望で頼まれたと相談を受け、よくよく話を聞くと以前に私がお客様に勧めたビタミンB12製剤の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を使っていたというため、メントールの多い『ロートゴールド40』を購入していただくことになった。
『ソフトサンティアひとみストレッチ』にはメントールの類が全く入っていないから、おそらく物足りなく感じたのだろう。
ただ、出かけられない事情が無ければ、使うご主人本人に来店してもらいたいところ。
かすみ目というだけでは症状が分からず、白内障の前兆という可能性も捨てきれないから、ちゃんとヒアリングしないのは心配。
お客様から『新ビオフェルミンS』と『セイロガン糖衣A錠』を求められたけれど、後者は『正露丸』と処方が異なることを説明すると驚かれた。
5つの生薬で構成された『正露丸』から抗炎症成分と鎮痙攣成分を抜いてあるのが『セイロガン糖衣A錠』で、表記されている効能は同じでもシクシクとした腹痛などには効果が弱いと考えられる。
また、下痢止めとして買い求める人の多い『正露丸』だが、主成分の目的は腸の働きを整えること。
特に、食中りの場合には原因物質を早く排泄したほうが良いから、下痢をピタリと止めてはいけない。
しかし、やはり下痢止めとしての需要が高いため、大幸薬品の『正露丸』に対してキョクトウなど他社の『正露丸』には下痢止めのロートエキスが入っており、胃腸の機能を低下させて症状を抑える成分だから、回復が遅くなることが懸念される。
ご家族が下痢と腹痛を訴えているそうなので、腸には味覚も嗅覚があって匂いも効能には有用とお話したところ、大幸薬品の『正露丸』に変更して『新ビオフェルミンS』と一緒に購入された。
それから、以前に海外に行く時に『セイロガン糖衣A錠』を持って行ったというお話を聞き、胃腸炎にも使える風邪薬の『柴胡桂枝湯』を紹介した。
持ち歩くのには、やはり匂いのしない『セイロガン糖衣A錠』を持っていきたいと思うだろうから、サポートになる薬を別に用意しておいたほうが安心というもの。