お客様が外用消炎剤の棚で30分くらい迷ってる様子だったので案内を申し出たけれど、「分かるから大丈夫」と断られたので立ち去るさいに「ジクロフェナクトリウム製剤は血液中にも入るから、内服薬との併用に気をつけるように」と告げると驚かれ、フェルビナク製剤も喘息には注意が必要と伝えたら「そうなんですか!?」と、なおさらビックリされた。
さっきの「分かるから大丈夫」というのは一体何だったのか。
今回は、ジクロフェナクトリウムの液剤を購入されたのだけれど、症状について教えてもらえなかった。
打撲や捻挫といった強い急性症状には薬も強め物をバンッと使い、症状が軽減したら弱めの薬に乗り換えていくステップダウン方式が良いこともお話しすると、やはり「そうなんですか!?」と驚かれたのだけれど……。
やや高齢のお客様から『GSリフェンダa』と『のびのびサロンシップF』の違いを尋ねられ、同じサリチル酸製剤の濃度違いであることと、外用消炎剤としては一番弱い薬であることを伝えた。
正確には鎮痛剤として弱いというよりも、チクチクとした弱い刺激を患部に与え続けることで痛みを感じる神経を誤魔化している。
痒いところを叩くと痺れて痒みを感じなくなるようなもんである。
だから、本当に痛みを抑えたいのであれば他の成分のほうが良い。
ただし、サリチル酸の弱い刺激は血行を良くするので、温めると楽になる肩こりのような症状には適している。
お客様には、症状によってステップダウン方式が良いことを説明したところ、今回は『のびのびサロンシップ』をお買い上げいただいたのだけれど、用途のついては質問をしても、ついぞ教えてもらえなかった。
お客様から『エキセドリンカプセル』を求められたけれど、調べてみたら終売になっていた。
アセトアミノフェンとアスピリンを合わせた珍しい処方で、おそらくは中枢神経に働きかけて痛みを抑えるアセトアミノフェンが炎症には弱いから、末梢神経から炎症を抑えるアスピリンが補うことを意図しているのだろう。
お客様には終売になっていることを伝え、同じ処方に鎮静成分を加えてある『エキセドリンプラスS』を紹介した。
ただ、頭痛・腰痛・発熱などに使っていたというので、関節痛には関節と関節の間の滑液に成分が留まるアルミノプロフェン製剤の『ルミフェン』を、歯痛にはアスピリン製剤の『バファリンA』をというように、鎮痛剤にも性格があり目的によって使い分けるほうが効果的なこともあることを説明した。
すると、処方薬との併用に迷われたようで、しかしその薬の内容を覚えていないというため、先に調剤している薬局に相談するよう勧めたのだが、どうしても何か買いたいと粘られ、アセトアミノフェンとイブプロフェンの合わせた『バファリンルナi』を案内してお買い上げいただくこととなった。
いつも持ち歩いてるというお薬手帳は、たまたま忘れてしまったとのこと。
念のため避けたのは、鎮静剤入りの鎮痛剤である。
処方されている薬について詳しい事情を話してもらえない場合、精神系の薬の可能性が考えられ、鎮静成分との併用が好ましくないからだ。
お客様には、できれば服用する前に調剤薬局に確認をして、事後でも成分表示をお薬手帳に貼っておくようお願いした。
お薬手帳で処方薬と市販薬を一元管理してもらえば、医師や薬剤師の目に届くはず。