製薬メーカーは特定のシリーズ名を広めたいので、なおさら製品の違いを知る必要があります

 お客様が『フルコートf』をレジに持ってきたけれど、家に『液体ムヒS』があるというので、強い炎症を抑えるステロイド剤という点では似た薬なので、先に使ってみてはとお話するも納得されないようだったため、患部を見せてもらったところ掻いた痕がブツブツと黒くなっていたため、炎症効果を少し落として皮膚の材料を運ぶ血流を助ける『ケアノキュア』を紹介し変更になった。
 ステロイド剤は炎症を抑える代わりに、皮膚の再生を邪魔してしまい免疫機能も低下させてしまうから、掻き崩した痕には向かない。
 患部を確認できたのは良かったけれど、自身でステロイド剤を選ぶ前に相談してもらいたかったところ。
 お客様は、入浴は3日おきで間はシャワーというため、浴びるのであれば太い血管の通っている背中側にとお話したうえで、皮膚の再生には材料を運ぶ血流が大事だから、やはり入浴のほうが良いと勧めた。

 夫婦のお客様が虫刺されの『ヒドランパッチ』を購入されるさいに、患部の炎症が強い場合に適応するステロイド剤の『マキロンパッチエースF』もあることを伝えたところ、パッチタイプを選んだのは子供が掻かないようにするためという理由だった。
 その選択は良い判断だと思いますと伝えたうえで、同じ剤形でも成分によって効果が異なることをお話した。
 そして、虫除けスプレーを使っていても子供が刺されるというため、掌に出して肌に塗る方法を勧めた。
 ありがちなのが、薬剤を吸い込まないように息を止めて体から離して吹き付けるパターン。
 主成分がディートなどであれば、匂いで虫を寄せ付けないというのではなく、虫の感覚機能を狂わせて獲物を見つけにくくする働きをしているので、体に付着させなければ意味が無いのだ。
 虫と人間とでは神経の仕組みが異なり、ディート自体は吸い込んでも大丈夫なのだが、避けたいということなら体に吹き付けるのではなく、塗ってしまうのが安心で効果的。

 若いお客様が『セナキュア』と『ニノキュア』の両方を購入されるので、前者は皮膚をわざと腐らせて新しい皮膚ができるよう促す成分なので顔や手には使わないようにと伝えたら、「そうなんですか!?」と驚かれた。
 手自体には薬剤が付着しても問題は無いが、無意識に目や口など弱いところを触ってしまうかもしれないから、やはり注意が必要。
 そういうことでは『ニノキュア』の尿素も刺激物だから、やはり薬を塗った後には手を洗うのをお忘れなく。
 お客様には、内容を確かめてから薬を買ってもらいたいと思う今日このごろ。
 まぁ、一番悪いのは成分違いを「キュア」シリーズでまとめて、その違いが分かりにくい製品を次々とラインナップする小林製薬さんなんですが。

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