モイストヒーリング(湿潤療法)は、新鮮な傷口に適しています

 お客様が『コッコアポEX』(防風通聖散)を購入されるさいに便秘してるか確認したところ、適応しそうなので伝えると共に、保険の適用薬でもあることを知らなかったといううため、病院で処方してもらえるか相談するよう勧めた。
 本来、『防風通聖散』という物は気軽に使える漢方薬ではないから経過観察が重要だし、ダイエット目的となると長期連用を見据えなければならないので。
 『コッコアポ』のシリーズは小容量のお試し版があるけれど、あれは効くかどうかではなく、体調を崩さないかを調べるためと思ったほうが良い。

 やや高齢のお客様が昨日に『のどすっきりうがい薬』を購入したとのことで、『新コルゲンコーワうがい薬』と同じか質問されたので、同じ成分のセチルピリジニウム塩化物水和物ですと答えた。
 お客様は甲状腺を患っているそうで、『イソジン』(ポビドンヨード)は避けたいというため、良い判断ですと答えたうえで、毎日うがいするのであれば水道水でも充分なことと、殺菌成分は体を守る菌も殺してしまう可能性をお話した。
 外出先から帰ってきたら使っていて、朝の目覚め直後はうがいしていないというので、むしろそのタイミングでうがい薬を使うのをお勧めた。
 寝ている間は唾液の分泌量が減り、口の中の雑菌が増えるから朝食を食べる前にうがいをするか、いっそ歯を磨いてしまったほうが良い。
 歯を磨けば、虫歯菌を追い出してから食事をすることになるので、後で食べカスが残っても虫歯菌に歯を侵食されず虫歯になりにくい。

【第3類医薬品】 【大正製薬】 パブロン うがい薬AZ 30mL

 子供を連れた常連のお客様からモイストヒーリングの絆創膏を求められたけれど、子供が怪我をしたのは昨日のことで、すでに乾いて瘡蓋(かさぶた)ができてきている患部の様子から、『ワセリン』か普通の絆創膏で保護することを提案したところ、お帰りになった。
 『ワセリン』ならば水分を弾いて汚れを寄せ付けないので、絆創膏を貼らなくても大丈夫なことを説明した。
 自然治癒させやすくするモイストヒーリング、湿潤法は誤解されてることが多く、まず傷が新しくて、深くなく範囲も狭いことが条件となる。
 そして昔は傷口を乾燥させていたのを湿潤のほうが良いとする根拠は、傷口から出る体液に殺菌作用と皮膚の修復成分が入っている、いわば透明な血液だから、患部を外部と遮断して保護すれば自然に治るというもの。
 なので、まず日が経っていては駄目だし、瘡蓋ができているということは、それがモイストヒーリングの絆創膏の役割をしているから不要なのだ。
 リスク区分がされている薬と違って、絆創膏などはこちらに説明する義務が無いけれど、それは使用者が説明書を読むなりして充分に内容を理解しているという前提に立っている。
 もし分からないのであれば、まず相談してもらいたいところなのだけれど、「何を分かっていないかが分からない」から相談してもらえないという矛盾。
 自身の健康に責任を持つという“セルフメディケーション”というのは、自身で何もかも勉強して解決するということではなく、適切に専門家に相談をして情報を得る意識と努力が必要なんである。

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