夫婦のお客様が『ペラックスイート』と『浅田飴』をレジに持ってきたさいにヒアリングしたところ、喘息の奥さんに病院から吸入器のステロイド剤が処方されていて、使うと手が震えて上手く吸い込めないため市販薬をと思ったとのことだった。
しかも、すでに『アスクロン』を使って効かず、『ブロン錠』が効いたというお話も。
そして、それらは医師に報告していないという。
ヤ~メ~テ~ヽ(;´Д`)ノ
処方的には呼吸をしやすくする『アスクロン』の方が効くはずだけれど、人間の体は機械ではないから合わないコトも当然ある。
それに『ブロン錠』が効いたといっても、「どう効いたか」によって話が変わる。
『ブロン錠』にも気管支の拡張成分が入っていて、一緒に呼吸を抑制してしまう成分も入っているから、前者で呼吸ができたのか、前者で身体機能が落ちたのを楽になったと感じているのか。
いずれにせよ、『ペラックスイート』と『浅田飴』は気管支の拡張成分がかぶっているから、両方を購入する必要性は無いはず。
それから、奥さんの姉に処方されていた『麦門冬湯』をもらって使ったものの、やはり効かなかったという。
だから、ヤ~メ~テ~ヽ(;´Д`)ノ
上半身を潤す『麦門冬湯』は乾燥性の咳に用いる物で、喘息なら咳の激しい時に『五虎湯』を使い、呼吸が苦しい場合には『半夏厚朴湯』を、さらに体力の維持を考えるのなら『柴朴湯』というように、適応を検討しなければならない。
奥さんは、呼吸が苦しくなるものの喉は痛くないというため『ペラックスイート』のみを勧めて、お買い上げいただいた。
自己判断で使った市販薬については医師に報告していないものの、吸入器を上手く使えないことについては相談し、薬の変更を検討してもらっているとのこと。
あうっ、それならなおさら自己判断で市販薬を使っては駄目じゃないですか。
でも、ここでお説教をしてしまうと苦情になるかもしれないし、反発心を生んで余計に医師との意思疎通を欠いてしまう可能性がある。
なので、使った市販薬の成分表示をお薬手帳に貼って処方薬と一元管理することと、お薬手帳を普段から持ち歩くよう“お願い”した。
お薬手帳を持参してもらえれば市販薬を選ぶときの参考になるし、外出先での事故での救命措置にも役立つし、大規模災害で避難生活になったら特例で医師の診察を受けずに必要な薬をもらえるという“お得な情報”も付け加えた。
お客様から水虫の薬を求められたけれど、市販薬を使うにも医師の診断を受けてからの方が良いことをお話したところ、足の指にポッチができていて痛痒いという。
水虫は見た目では分からず、医師も顕微鏡検査しなければ判断できない。
水虫に間違えて湿疹の薬を使う分には副作用的に問題は無いのに対して、湿疹に間違えて水虫の薬を使うと殺菌成分が皮膚の再生を邪魔してしまう。
そして今回の症状は湿疹かすら判別がつかず、痛痒いという点だけを頼りにステロイド剤を候補にした。
炎症が強い時は強めの薬で短期決戦に持ち込み、症状が落ち着いてきたら弱い薬に乗り換えていくステップダウン方式のことをお話して、剤形は患部を保護するために軟膏を勧めた。
皮膚への浸透を優先すればクリーム剤の方が良いようにも思えたけど、その場合には患部の保護のために別途、絆創膏を貼ったほうが良いだろう。
今回は、殺菌成分も入ったステロイド剤の『プレバリンα軟膏』をお買い上げいただいた。
やや高齢のお客様が『メンソレータムEXプラス』をレジに持ってきたので、尿素入りで良いか確認した。
使い慣れない人だと、尿素のピリッとした刺激が嫌かもしれないので。
患者はご主人で、アトピー性皮膚炎に以前に何か塗り薬を使っていたというのだけれど、銘柄は分からないとのことだった。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下しているから、保湿作用のある尿素は有効だけれど、本人がその刺激を了解してるかが分からないと販売しにくい。
尿素の入っていない痒み止めの『メンソレータムAD』と、油分が多くて患部の表面を覆い水分の蒸発を抑える『メンソレータムボタニカル』を紹介すると、後者に変更された。
ご主人に以前に処方されたのは、どうもステロイド剤らしいのだけれど、病院嫌いだとのことだった。
病院嫌いならせめて、自分の薬は本人に買いに来てもらいたいところ。
患部の状態とか今回のように刺激の有無の好みとか、代理の人では情報が少なすぎる。
それから、ご主人はシャワーで過ごしてるというため、入浴も試してみるようお話した。
熱いお風呂にサッと入ってパッと出るようなタイプだと、急激な血管の収縮と風呂上がり後の拡張で血液が血管の内壁をこすって痒みが強くなるケースがあるけれど、ぬるめのお湯に入って追い焚きすれば血流は落ち着き皮膚の修復にも役立つので。
どうしてもシャワーで済ませたい場合には、太い血管の通っている背中側に重点的に浴びるという手もある。