子供を連れたお客様が、アンパンマンの『ムヒパッチA』とポケモンの『マキロンかゆみどめパッチP』のどちらにするか子供に選ばせて前者を購入されるので、痒み止めとしては後者の方が少し優れていると考えられること、さらに炎症が強い場合に用いるステロイド剤の『マキロンパッチエースF』を紹介したところ、そちらを一緒に購入された。
薬を剤形で選ぶ人は多いが、同じ剤形でも成分が違えば効果も変わるから注意してもらいたいところ。
『ムヒパッチA』と『マキロンかゆみどめパッチP』の場合、基本の痒み止め成分は同じものの、後者にはさらに抗炎症剤と鎮痒剤が追加されているから、子供が無意識に患部を掻いてしまうようだと、『ムヒパッチA』では効き目が弱いかもしれず、また虫刺されなどの急性症状においては最初にステロイド剤を使って、症状が治まるのに従って薬も弱い物へと乗り換えていくステップダウン方式を取ったほうが良い。
子供向けのパッケージだからといって、子供に好きな方を選ばせるのは、あまり勧められない。
というか、キャラクター商品の手法を薬に持ち込む製薬メーカーが悪いとも思う。
お客様が帰ってから、いつもしている虫除け対策について伝えるのを忘れてしまった。
虫除けスプレーは、体に吹きつけるより掌に出して塗ってしまったほうが効果的なのです。
お客様から虫刺されの薬を求められて売り場を案内すると迷った様子で、一度離れてから再び棚に戻り、また迷っていたため声をかけた。
虫刺されの薬の強さは大きく分けると4段階で、痒み止め成分の種類が少ないのが一番弱いとすれば、痒み止めと炎症を抑える成分を重ねたり局所麻酔を加えてある物が2番目に位置し、ステロイド剤が主成分になると3番目の強さとなり、一番強い薬はステロイド剤のランクが上がる。
特徴的なのが、『ムヒSクリーム』は一番弱く、同じ名前の液剤となる『液体ムヒS』は一段飛んでステロイド剤入りの3番目に強い薬。
同じ剤形でも他社製品だと成分が異なるように、同じメーカーの同シリーズでも剤形が変わると中身が違うという薬があるから注意が必要だ。
お客様にもそう説明すると、頼まれ物で剤形の好みが分からないというため、剤形による使い分けも教えた。
例えば、液剤は塗り拡げやすい点と手が汚れないのが利点ではあるが、人間の皮膚は外部からの侵入を防ぐのに優れており薬も浸透しにくい。
特に皮脂で守られているため、脂に馴染んで浸透しやすく調整されているのがクリーム剤で、同じ処方内容なら液剤よりもクリーム剤のほうが効果が現れやすい。
また、虫刺されの薬には軟膏タイプは少ないが、痒み止めや炎症を抑える薬は他にもあり、患部をつい触ってしまう場合や服と擦れる場所には、ベトつく軟膏が向いている。
だから本当は、患部の場所と状態の情報も欲しいところ。
お客様からは「価格が高いと駄目かも」というお話があったので、『ムヒアルファS2クリーム』を案内して、お買い上げいただいた。
ステロイド剤だから効果が高いうえクリーム剤だから浸透力に優れ、しかし価格は控えめな製品。
こちらからは予算を尋ねにくいから、恥ずかしがらずに早めに提示してもらえると候補も挙げやすくて助かります。
夫婦のお客様から痒み止めを求められ、「虫刺されの薬でイイ」というため、汗疹(あせも)の薬も処方が似ていることを説明して棚を案内し、患部が赤く炎症している場合はステロイド剤をとお話したところ、患者であるご主人から患部の内股を見せられ、かなり腫れているのを確認した。
患部を見せてもらうのは助かるけれど、オープンスペースで下を脱がれるもんだから、面喰らってしまった。
とはいえ、せっかく患部を見せていただいたのを咎めるようになってもいけないので、病院に行くときのために写真を撮っておくよう勧め、市販薬を買うときにも写真があると助かるという体でお話した。
そして、軟膏とクリームの使い分けをお話したところ、患部を掻き崩してしまうというため、消毒薬も入っている『フルコートf軟膏』を案内し、お買い上げいただいた。
また、虫刺されの薬にメントールが入っていることが多い理由も説明した。
人間の神経は、痛みよりも先に冷たさを感じるようにできていて、痒みとは弱い痛みのことであり、メントールによる冷感が痒みを誤魔化してくれるのだ。
身体が冷たさを先に感じるというのは、寒冷地だと命の危機に曝されるからだろう。