『イベルメクチン』が駆虫剤だからといって、『パモキサン錠』は成分からして違います

 常連のお客様からリウマチの漢方薬の相談を受け、同じ漢方薬でも市販薬と医療用とでは取得している効能が違うことを説明したうえで、病院で処方されることのある『麻黄湯』を紹介したところ、クラシエのサイトで『よく苡仁湯』を見たというため、そちらは市販の『ヨクイニン』とは処方構成が異なり、麻黄や桂皮なども入っていることを説明した。
 お客様はリウマチ性筋肉痛のようなので、いずれにしても保険の適用薬だから担当医に相談してみるよう勧めた。
 こういう話は、下手をするとその場で紹介した薬を買われてしまうこともあるから、一見さんのお客様にはしにくい。
 もちろん常連さんの中にも「アンタが言うなら買うよ」という人はいるので気をつけるけれど、その辺りは常連さんだと分かるから、相手に合わせながら情報提供している。
 お客様には、症状だけでなく証や体質を考慮する漢方薬は、「Yes」「No」のようなチャート表だけでは決められないことを伝えたけれど、もしかすると医療者向けのページを見たのかもしれない。
 会員登録しないと閲覧できない医療用の情報を掲載しているサイトもあれば、一般の人も閲覧できるサイトもあり、一長一短。
 ただ、何を知ったにしても店頭や病院で専門家に対面したうえでの相談を省かないようにして下さいな。

 外国人2人組のお客様が、ぎょう虫駆除剤の『パモキサン錠』をレジに持ってきた。
 もう5年以上、一箱も売れるのを見たことの無い薬を買う目的が気になるのでヒアリングしたところ、何も起きていないものの心配だから、とそのまま購入された。
 どうも、新型コロナウイルスに効くという噂が出回っているらしい。
 話題になった『イベルメクチン』が駆虫剤だからという連想なのかもしれないが、成分名がそのまま名前になっていることからすれば、『パモキサン錠』の成分はパモ酸ピルビニウムだから、まったくの別物。
 この日記でも何度も書いているように、『バファリン』シリーズも『バファリンA』と『バファリンルナi』とでは縁もゆかりも無い成分で、同じ解熱鎮痛剤だとしても体の中での働きが違う。
 作用機序が違えば、効果が変わる。
 妙な情報に踊らされないようにしてほしい。
 そもそも、『イベルメクチン』が新型コロナウイルスに効くというデータの捏造が指摘されて、論文は取り下げられていますからね。

 高齢のお客様から『メンターム』を求められ、いつも使っていたそうだが、主訴は腕のかぶれで痒みは無いというものの、患部の皮膚が荒れていたため修復を助ける『アットノンEX』などを紹介すると、「お金を取ってくる」とお帰りになった。
 でも、その後は戻ってこなかったから、価格の安い『メンターム』が欲しかったのかもしれない。
 最初に、予算が確認もしておくべきだったか。

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