子供を2人連れたお客様が口内炎の棚を一緒に見ていたので声をかけ、炎症が強い場合と弱い場合の、塗り薬と貼り薬の他に内服薬の案内もした。
まず塗り薬は、一番強いステロイド剤があり、次に非ステロイドの抗炎症剤と続き、患部の修復と殺菌にというように大きく分けると三段階。
皮膚疾患ではステップダウン方式が主流で、炎症が強いのであれば弱い薬をダラダラと長く使うよりも、最初にステロイド剤を使って、症状が治まるのに従って薬も弱い物や修復する薬へと乗り換えていく。
貼るタイプのパッチ剤にしても、そういう成分の確認は大事だし、同じパッチタイプでも口内で基材が溶ける物と溶けない物とがあり、食事の際に食べ物が患部に当たるようであれば溶けない物の方を選んだり、基材を飲み込んでも大丈夫とはいえ不快なら溶ける方を使うというように選択肢がある。
そして、塗り薬には基本的に年齢制限は無いのに対して、パッチ剤は年齢制限に注意する必要があり、飲み薬も同様。
今回の患者は8歳の子供で唇の裏側にできており、本人の希望もあって『オルテクサー軟膏』を使っていただくことになった。
やはり患者である子供を連れてきてもらうとヒアリングのうえでも、剤形の好みを確認するためにも助かる。
そしてなによりも、本人の練習のためにも良いことですとお話しすると喜ばれた。
こういう機会を利用して練習しておかないと将来、店頭で確認も相談もせずに薬を買う駄目な大人になってしまうんである。(言い過ぎ)
せっかく本人もいるから、口内炎になると冷たい物を飲んだり食べたりするのが気持ち良いと感じてしまうけれど、冷たい物に対抗しようと体が炎症頑を張ってしまうので、患部にしみない程度に温かい物を摂ることや、お風呂に入って体を温めるよう勧めた。
体としては、炎症することにより悪い菌やウイルスと闘い、血流を良くして皮膚を修復する材料を運ぼうとしている。
つまり、炎症を速く治めてもらうには、その邪魔をしないことが重要なのだ。
お客様から、「ネットで、肉を柔らかくするのに重曹を使う方法を見た」とのことで、掃除用を使っても良いか尋ねられた。
まぁ、安い方を使いたいという気持ちは分かる。
とはいえ、掃除用の物を大丈夫と言って販売することはできないので、事実として食用とは工場の清潔さが違うことと、しかしお掃除用も食用できるほどの環境で作られていることを説明してから、お菓子作りコーナーを案内した。
煮豆を作るのにも使えることを伝えたけれど、最近では煮豆を作るという人は少ないか。
あと、コーラに漬ける方法も教えた。
私は、下味をつけるのも兼ねてコーラ漬けにしたステーキが好き。
お客様が、子供用の風邪薬をレジに持ってきたけれど、6歳の子供で実際には何も発症しておらず、疲れてる様子だから予防に飲ませるというため、そういう使い方は適していないことを伝えると、それでも構わないと一旦はお会計したものの、商品をしまう段階になってキャンセルされた。
返金手続きは、後で返品伝票を上げなければならないうえ、理由の報告も必要だからレジ業務の面では正直「(・д・)チッ」と思わなくはないけれど、登録販売者としてはお話を受け入れてもらえたことに「(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨッシャー!!」とガッツポーズしたくなる。
風邪薬の基本構成は、解熱鎮痛剤に鼻炎薬と咳止めで、成分にもよるものの「身体機能を落として症状を抑える」傾向にあるので、疲れているときに飲んでしまうと余計に抵抗力を落として、本格的な風邪へと進行させてしまう危険があるから、思いと留まってもらえて良かった。
お客様からは、疲労による風邪の対策を尋ねられたので『柴胡桂枝湯』を紹介したところ、購入された。
ただ、購入を決められる前に、漢方薬だからと味を気にされたので、『葛根湯』ほどには不味くないことを説明した。
漢方薬の味は、生薬の種類によって決まるので。
乾燥性の咳止めに使う『麦門冬湯』なんかは、粳米が入っていて、ほのかに甘い。
それからお客様には疲労対策として、消化にもエネルギーを使うので、栄養を摂らせようとモリモリ食べさせるよりも、消化しやすい食事を量を少なくと勧めた。
お粥やうどんなど、アッサリし過ぎていると脳が満足しないから、濃いめの味付けの具材と組み合わせる方法を教えた。