お客様が『大正漢方胃腸薬』を見ていて、レジに持ってきたのが『第一三共胃腸薬プラス』なので胃の疲れている人向きであることをお話したところ、患者は家族で、主訴はガスだというため合わないように思われることを説明して、フェカリス菌、アシドフィルス菌、ビフィズス菌の3種類の乳酸菌の入った『ガスピタン』を案内した。
ガスは食事をするときに吸い込む空気の量と、腸内での発酵が原因だから、胃腸の働きというよりも善玉菌が活躍しやすい腸内環境を整えるのが大事。
腸内に限ったことではないが、人間の体に棲息している一番多い細菌は「日和見菌」とされている。
日和見とは、敵対勢力のどちらが優勢なのか様子見をして、自身では物事を決めないこと。
まぁ、お調子者である。
で、そう呼ばれているように日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の活動状況を見ているらしく、優勢な方の味方に付くとされる。
つまり、乳酸菌など消化に役立つ善玉菌を増やせば、日和見菌が味方してくれるという訳だ。
そして『ガスピタン』には、ガスを少なくする消泡剤が入っている。
しかしお客様は、いつもは『大正漢方胃腸薬』を使っていて、今回は『第一三共胃腸薬プラス』を試してみたいとのことで、そのまま購入された。
いや、その「試したい」というのは本人の希望なのだろうか?
本人が、消泡剤の入っている『ガスピタン』を知れば、そちらを選ぶのではないか。
薬の代理購入で本人と連絡が取れないと、なんだかモヤモヤしてしまう。
しかも、本人ではないから症状の詳細が分からず、入浴はしているそうなので、お腹周りを温めるのは善玉菌が活躍するのには良い事と伝えた。
お客様から胃腸薬を尋ねられ売り場を案内すると『ガストール』を手にされたけれど、『ガスター10』と同じく胃酸の出過ぎを抑える薬で、これらが合うのは苦い水が上がってくるとか胸が熱い感じがするといった、かなり限定的な症状。
しかもお客様は、ストレスが思い当たるというため『大正漢方胃腸薬』を基本に、『大正漢方胃腸薬アクティブ』と『太田漢方胃腸薬II』を並べて説明した。
『大正漢方胃腸薬』は疲れたいを癒やす『安中散』と、緊張などによる筋肉の痙攣を抑える『芍薬甘草湯』を合わせた物。
『芍薬甘草湯』は単独では、こむら返りにも使うし、漢方では「立てば芍薬」と云って、腹が立ったら芍薬を飲めば気持ちが落ち着くとされている。
その『大正漢方胃腸薬』から『芍薬甘草湯』を抜いて、手足の冷えを改善する『四逆散』と入れ替えたのが『大正漢方胃腸薬アクティブ』で、主に誰から怒られるといった外から受けるストレスに対応する。
残念ながら売れなかったのか、終売になることが決まっており、代替になる薬が市販薬には見当たらない。
今後は、同じ薬をと思うと『安中散』と『四逆散』を別々に購入して一緒に服用するしかなく、店頭では勧めにくいうえ、それぞれ単独の商品をうちお店では取り扱っていない。
一方、『大正漢方胃腸薬』の『芍薬甘草湯』を、水分代謝の改善に役立つ茯苓と入れ替えたのが『安中散加茯苓』という漢方薬の『太田漢方胃腸薬II』であり、こちらは起きてもいないことをアレコレと悩んでしまうような、内面的なストレスに適応する。
お客様は思い悩むタイプのストレスが思い当たるとのことで、『太田漢方胃腸薬II』をお買い上げいただいた。
人間の体は機械ではないから両方のストレスの影響を受けて、複合的な症状が現れることもあるから、いつも同じ薬が合うとは限らないと伝えたところ、お客様は「様子を見てみます」とのお返事。
そう、薬を使ったら経過観察は欠かせない。
やや高齢のお客様が『第一三共胃腸薬』を購入されるさいに、他に使用している薬が無いか尋ねると、血圧を下げる降圧剤を服用しているとのことで、ナトリウムの入っていないこの薬は大丈夫かと思ったけれど、市販の胃腸薬は処方内容が複雑で、他の薬との飲み合わせや持病との影響の判断が難しいとお話したところ、患者はご主人で、泌尿器科を受診していると分かった。
昔から使ってるとのことだったけれど、『第一三共胃腸薬』を使ってることを担当医には伝えていないというため、成分表示をお薬手帳に貼って報告するよう勧めた。
特にお薬手帳を持ち歩くメリットとして、出先で事故に遭って気を失っている場合に救命措置の参考になるし、大規模災害で避難した時には特例として医師の診察を受けずとも薬を受け取れることをお話すると、「私もそうします」と言っていただけた。