若いお客様が点鼻薬の『スットノーズαプラス』を3本も購入されるので、長期連用を避けるように伝えると驚かれた。
鼻水を止めるのは体液の出る穴をキュッと締める働きによるもので、それは同時に血管を収縮させてしまうため、今度は血管が炎症を起こし膨らんで鼻づまりの原因になることを説明した。
そして、今日は誰にも合わない日とかには使わずに、休憩を挟むよう勧めた。
それから、内臓が冷えると鼻水になるため、積極的に温かい物を飲んで、服装はお腹周りを冷やさないようにし、しっかり入浴をするのが養生法になるというお話をしたら、シャワーで過ごしていると分かり、浴び方を教えた。
簡単な方法で、太い血管の通っている背中側に集中的にシャワーを浴びる。
ただ、あくまで入浴できない環境での代用であるから、少しでも長く浴びるために、髪や体を洗っている間はシャワーに背中を向けたままにしたほうが良い。
なお、主訴が鼻詰まりの場合の養生法も、患部に篭もった熱を循環させるために入浴が一番。
シャワーは、首周りにも浴びておくと症状を軽減するのに役に立つ。
点鼻薬は、炎症を抑えることに主眼を置いてステロイド剤入りの物を使うと効果的だ。
ただし、ステロイド剤は年間3ヶ月以内の使用とか、他のステロイド剤との併用はしないことなど、別な制限があるので注意が必要。
あと、解熱鎮痛剤によって鼻の血管の炎症が治まることは分かっているので、効能に書いていないから鼻づまりに効くと言って勧めることはできないものの、鼻づまりによって頭痛が起きていたり、喉の痛みを併発してたりする場合には、使えることは知識として覚えておいて損は無い。
お客様が『新ルルAゴールドDX』をレジに持ってきたけれど、主訴は頭痛と鼻水で咳は無く、家には何か鎮痛剤があるというため、それを先に使うことを提案し、鼻水は温かい物を飲むだけで改善する可能性をお話した。
すると、置き薬にしようとも考えており、以前は『パブロンSα』を使っていたというので、咳止め成分の種類から考えると、そちらの方が身体に優しい事と、咳止め成分の入っていない風邪薬として『PL顆粒』もあることをお話した。
やっぱり、咳止め成分の主流は覚醒剤系と麻薬系だから、咳が無い時には避けたほうが無難。
置き薬にはアレもコレも入っている風邪薬より、「解熱鎮痛剤」「鼻炎薬」「咳止め薬」をバラバラに備えて、そのつど起きた症状に絞って使うのが体にも財布にも優しい。
お客様からは「葛根湯はどうか」と訊かれ、上半身を温める『葛根湯』は極めて初期において早め早めに使うのが効果的で、それこそ「悪寒がした……気がする」とか「頭が重い……かな?」という場合に使うのが良いため、家に持ち歩くより持ち歩いておくのが望ましいと説明した。
そして、喉が痛かったり鼻が詰まる場合には、反対に上半身を冷やす『銀翹散』の方が適していることと、発熱したら『麻黄湯』へと乗り換え、熱が引く頃合いには体力を支える『柴胡桂枝湯』の出番というように、段階ごとに使い分けがあることをお話したところ、『葛根湯』を購入された。
それから、食べ物を消化するのにもエネルギーが必要なので、風邪を治す方にエネルギーを向けるために、初期症状の段階で消化しやすい食事にするのが治りを早くする道と伝えた。
やや高齢のお客様が『パブロンゴールドA』をレジに持ってきたけれど、主訴は鼻水だけというため鼻炎薬を提案したところ、詰まることもあるというため『アネトン アルメディ鼻炎錠』を紹介したうえで、『パブロン鼻炎カプセルSα』をお買い上げいただいた。
実のところ、『パブロン鼻炎カプセルSα』などは「鼻水・鼻づまり」と両方が書いてあっても、現代薬は鼻づまりを治すのが苦手。
鼻水なら分泌腺を締めれば止まるから簡単であるものの、鼻づまりのように炎症を抑えるのは難しく、『アネトン アルメディ鼻炎錠』は現代薬に生薬を配合することで、両方に効果を発揮する。
ただまぁ、『アネトン アルメディ鼻炎錠』は価格が高いのがネックで……。
純粋に漢方薬なら、鼻水には『小青竜湯』を使い、鼻水と鼻づまりを往来するなら『葛根湯加川きゅう辛夷』の出番で、鼻が詰まる一方になり眠れないくらいの場合には『荊芥連翹湯』が通りを良くしてくれて、詰まった鼻汁が喉に落ちてくるようだと胃が悪くなっていると考えられるから『辛夷清肺湯』が適応する。
でも、現代薬を買おうとしているお客様に、漢方薬を案内するタイミングは案外と難しい。
お客様には、積極的に温かい物を飲むようお話すると、たまに入浴するもののシャワーで過ごすことが多いというため、浴び方を教えた。
せめて、養生法だけでも持って帰っていただき、役に立てると良いのだけれど。