お客様が子供用の風邪薬をいくつか見ていたので気にかけていたところ、栄養ドリンクのみを購入されたので、何か子供の風邪など気になることがあるのか尋ねてみたけれど、答えていただけけなかったため、もし鼻水であれば原因は内臓の冷えと考えられ、温かい物を飲ませてお風呂に入れば薬はいらないかもと伝えた。
すると興味を持っていただけた様子だったのが、レジに次のお客様が並びお帰りになった。
ううむ、残念(´・ω・`)
お客様が『トクホン』や『サロンパス』などと同じサリチル酸製剤の『アスコラルL』を購入されるさいに、弱めの薬であることを伝えると「これ、弱いの?」と興味を持たれものの、捻挫や打撲などには最初に強い薬をと付け加えると、「これシップでしょ?」と尋ねられ、「そうです」と答えたらそのまま購入され、目的については教えてもらえなかった。
湿布というのはまさに読んで字のごとくで、湿った布に薬剤を塗っていないタイプもあり、『アスコラルL』は正確には「パップ剤」という、似てるけど少し違う物。
パップ剤は、厚めの不織布などに有効成分と水分を含む軟膏が塗布されており、水分の気化熱により「貼り付け時に冷たく感じる」のが特徴。
一方、薄くて伸縮性のあるニットなどに有効成分が塗ってあり、粘着力の強いのがテープ剤で、その粘着力により皮膚がかぶれやすい傾向にある。
よく「肌が弱いから」と、弱い薬を選ぶ人がいるけれど、主成分でかぶれるわけではない。
また、かぶれる主な原因は貼る前に患部を清浄にしておらず、汗や埃などを巻き込んでしまうからなので、たとえ風呂上がりでも汗をかくことを考えると、やはり貼る直前にもうひと拭きしたほうが良い。
そして、整体や接骨院では薬を処方できないため、先述したように薬剤の塗っていない、あるいは医薬指定部外品とか、医薬品とまではいえない程度の成分が含まれた湿布が渡されることがあるから、そういうのと混同しているケースもあるため油断できない。
その点、サリチル酸製剤の鎮痛消炎効果は弱く、微弱な刺激によって神経を混乱させて痛みを誤魔化しつつ、その刺激で血流を良くするので、軽度の肩こりや筋肉痛に向いている反面、捻挫や打撲といった強い急性症状には力不足。
外用消炎剤としてはひとつ上の鎮痛効果で浸透力のあるフェルビナク製剤があり、さらに鎮痛効果の高い物としてはインドメタシン製剤やロキソプロフェン製剤が、そして高い鎮痛効果と浸透力を誇るものの血液中にも成分が入るため注意事項が多いジクロフェナクナトリウム製剤がある。
外用消炎剤の効果は剤形ではなく、やはり主成分で決まるのだ。
お客様から総合風邪薬の『エスタックイブ』が値引きになってる理由を尋ねられ、販売期限が1年を切ってることを答えたうえで、必要な物かどうかは検討が必要と付け加えた。
市販薬は家においたまま、いつ買ったか覚えていないことが多いため、使用期限のおよそ半年から1年程度前が販売許容期限として設定されている。
そして総合風邪薬は、解熱鎮痛剤と鼻炎薬と咳止めの全部入りだが、熱が出て喉が痛み鼻炎になって咳き込むなどという症状がいっぺんに現れることは滅多に無い。
そして身体の方は、出ていない症状に対応する成分も処理しなければならないから負担ばかりが大きくなり、全部入りというのは案外と使い勝手が悪いのだ。
風邪に備えて常備薬を揃えるのであれば、解熱鎮痛剤・鼻炎薬・咳止めを別々に用意して、起きた症状にピンポイントで当たったほうが、身体にも財布にも優しい。
お客様の主訴は、外敵と戦ってると思われる色のついた鼻水というものの、他の症状は無いというため鼻炎薬の方が良いとお話したところ、頭痛もあったというので、そちらを主訴と考えれば鎮痛剤を先に使う方法もあることを説明した。
鼻の症状は喉を通じた胃とも連動しており、消化に良い食事をして、入浴や下半身の厚着などで保温すれば自然に回復する可能性が高い。
しかし、『エスタックイブ』を購入されるので、咳が激しい時に用いるようにと念押ししたうえで、お買い上げ頂いた。
含まれている咳止め成分が覚醒剤系と麻薬系なので、咳の無いときに飲んでしまうと、副作用だけが現れてしまう可能性があるからだ。
覚醒剤系は血圧の上昇と動悸の他に、体調が良くなっていなくても元気になったと錯覚するのが副作用で、麻薬系は心肺機能及び胃腸機能の低下を招き、身体の保水機能を狂わせて体内を乾燥させるので、今度は咳の原因となる。