市販薬のリスクは、成分による副作用だけではありません! 「誰にも相談しない」コトです

 お客様が『麦門冬湯』と『コルゲンコーワトローチ』をレジに持ってきたので、後者は殺菌消毒系であることを説明し、喉が痛むようであれば抗炎症成分の入っている『パブロントローチAZ』か『マードレトローチ』のほうが適応しますと紹介してみた。
 主訴は咳で、『麦門冬湯』は以前から使っているとのこと。
 乾いた音の咳をしていたから『麦門冬湯』が適応するのは間違いないと思われるが、殺菌は不要だろうから、やはり抗炎症成分の入ったトローチのほうが良いでしょうとお話して、トローチは『パブロントローチ AZ』に変更となった。
 お客様に、体には炎症したい理由があるので冷たい飲食物は避けるよう伝えると、思い当たるのか驚かれた。
 炎症されると自身としては困るけど、身体の方は免疫機能を高めたり壊れた細胞を回収し修復するための材料を運ぶ血流を良くしようとしてるから、気持ち良いからと冷たい物を飲んだりすると、それに対抗しようとしてさらに炎症を強めてしまうんである。
 炎症を弱めるためには、身体に無理に温める必要が無いことを教えてやるのが良い。
 積極的に温かい物を飲んだり、お風呂にゆったり入ったり、下半身に厚着をしてお腹周りを冷やさないようにするといったことを重ねるのが養生法となる。

 幼児を連れたお客様から酔い止め薬を求められ、棚を案内しながらヒアリングすると、今まで使ったことが無いというため、比較的眠くなりやすい物と、なりにくい物というように成分の違う物と、錠剤の他に雨飴のタイプと水無しで飲める崩壊錠といった剤形の異なる物があることを説明した。
 また、砂糖の入った飴ならば脳が楽しい気分になるのと、舌の刺激で吐き気を誤魔化せるため、必ず酔う訳でなければ、薬ではなくお菓子でも対応できることを教えたところ、しばらく選んでいたけれど、他のお客様の対応をしている間に、お帰りになった。
 酔い止め対策のお話をお会計の時にと思っていたので、伝えられなかった。
 対策の基本は、乗る前の飲食は温かい物にして、乗った後には冷たい物を少しずつ飲むこと。
 腸は体温より低い物を受け付けないから、軽食にしようとして果物などを食べると温まるまで胃に長く取っておくことになり、胃は食べ物を上部に溜める構造になっているため、これが吐いてしまう原因となる。
 温かいスープなどなら、すみやかに腸へと送られて胃は軽くなるのだ。
 そして乗ってからは、冷たい物を飲むと胃の働きが悪くなり、機能が鈍くなれば吐く力も弱くなるという次第。
 ちなみに、酔ってからでもコカ・コーラが買えれば酔い止めとして使える。
 先述したように砂糖の効果が必要なので、ダイエットコーラやトクホのコーラでは駄目。
 そして、炭酸の刺激が吐き気を軽減するうえ、pH値が胃酸に近いため馴染むんである。

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 お客様が『太田胃散』をレジに持ってきたので血圧等について尋ねたところ、降圧剤が処方されていて、しかもそれを飲んでいないとのことだった。
 担当医にも薬剤師にも伝えていないというので、『第一三共胃腸薬』など一部を除けば、『太田胃散』や『キャベジンコーワα』など多くの胃腸薬には塩分となるナトリウムが入っていて血圧に影響することを説明すると、「いつも飲んでるから」と言っていたけれど、急に心配になったのか他の薬を希望され、『セルベール整胃錠』と『ギャクリア』(六君子湯)を紹介したところ、後者をお買い上げいただいた。
 そして、調剤している薬局の薬剤師に相談するか、成分表示をお薬手帳に貼って報告するようにお願いした。
 実のところ、『太田胃散』単体で考えれば、高血圧だからといって直ちに問題がある訳ではない。
 問題なのは、服用している薬との飲み合わせを意識せずに市販薬を安易に購入することと、処方されている薬を自己判断で飲まないという考え方。
 なにより、自身の健康に責任を負ってくれている医師や薬剤師に相談しようと思わないことで、せめてそこを繋いでゆきたい。

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