傷口の消毒は水道水だけで充分? 傷口を治す薬って?

 夫婦のお客様が来店し、ご主人から『キップパイロール』の問い合わせを受け、取り扱っていないことを伝えたうえで、似たような処方として『メモA』を紹介したところ「傷を治すんだよね?」と訊かれたので、「違います」と答えた。
 患部の消毒と傷口の疼きを抑える弱い局所麻酔の入った薬であって、血流を良くして材料を運ぶのを手伝うのは修復成分の入った『ヒビケア軟膏』などであることを説明したけれど、興味は持たれなかったようで『メモA』を購入された。

メモA

 お客様が『キズニコ』をレジに持ってきたので『マキロンs』もあることを伝えると、「見当たらなかった」というため部外品と医薬品で売り場を分けていることと、『デシンA』も交えて違いを説明した。
 実は消毒薬というのはどれも同じではなく、製薬メーカーによって方針が異なり中身も違う。
 医薬部外品の『キズニコ』は消毒成分のみで、医薬品の『マキロンs』には皮膚の修復成分が加えられており、同じく医薬品の『デシンA』には弱い局所麻酔が入っている。
 例えばピアス穴を消毒するのなら皮膚の修復成分は要らないだろうし、小さい子供には傷口の疼きを抑えるのに局所麻酔が役に立つと考えられる。
 ただし、現在は昔と違って生活環境が格段に清潔で、水道水には消毒のための塩素が含まれているため、水道水で傷口を洗えば充分だから、消毒薬そのものが不要と考えられる。
 水道水の塩素による健康被害を心配する人もいるけれど、蛇口に届いた段階では微量だし、空気に触れると分解されてしまうので、食中毒等を防げるメリットのほうが大きい。
 水道水が確保できるのであれば消毒薬よりも、化膿する可能性に備えて抗生物質の軟膏を薬箱に置いておいたほうが安心。
 なにしろ消毒薬は菌を倒す能力を持ってるくらいだから、皮膚が修復しようと細胞を増やすのも邪魔してしまう。
 皮膚の治りを早くするためには、身体が治ろうとするのを邪魔しないことが大事なんである。
 今回のお客様は、『マキロンs』を購入された。
 目的は分からなかった。

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 やや高齢ではあったけれど、『ユリナールb』(清心蓮子飲)を熱心に見ていたお客様が体格的にガッシリしていたので気にかけていたところ、レジに持ってきたためヒアリングしてみた。
 主訴は頻尿で、夜中に限らず今までに使った薬は無いとのことから、『八味地黄丸』を基本として、加齢や疲労による体力が低下している場合に用いる『サースモン』(知柏地黄丸)も紹介した。
 そして、『八味地黄丸』に試用版の小容量の物があるのだけれど、それ効くかどうかではなく、使ってみて体調が悪くならないかを試すものですとお話したら、すでに『ユリナールb』の小容量を試していたことが分かった。
 疲労が大きく足を引きずるような状況か、極端に食欲が低下している場合に適応するのが『清心蓮子飲』なので、少なくともお客様には向かないと思われる。
 寝る前の水分補給は控えていないというので、それは良いこととお話した。
 夜中にトイレに起きるのを避けようと思って水を飲まないでいると、体内の塩分が濃いと身体が判断して、塩分を排出するために尿意を催すので、寝る前には水分を摂っておいたほうが対応策なんである。
 お客様には、過活動膀胱なども考えられるから、専門家に話を聞くために先に病院を受診することを勧めたうえで、『八味地黄丸』の小容量を試していただくことになった。
 また、調剤薬局は病院に行かなくても健康相談に応じてもらえることをお話しすると驚かれ、お礼の言葉を頂戴した。

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