若いお客様が、『アルピタン』(五苓散)と『アルピタンガンマ』(茵陳五苓散料)を比較していたので気にかけていたところ、前者をレジに持ってきたため、普段から飲酒が多いか尋ねると怪訝な顔をされたので、両者の違いを説明した。
飲酒による頭痛の原因は、脱水症状ある。
アルコールを肝臓で代謝して分解するのには大量の水が必要なのだが、アルコールには利尿作用があるから、身体は脱水症状を起こしてしまい、その症状の一つが頭痛として現れる。
つまりアルコール頭痛には、水分代謝を改善する『五苓散』が役に立つ。
そして、『茵陳五苓散料』の方に加えられている茵陳蒿は、肝臓で作られた胆汁を貯めておく胆嚢(たんのう)の働きを助けてくれて、それが肝臓の負荷を軽減することにもなるため、普段から飲酒量が多い人には役に立つ。
お客様の主訴は二日酔いによる頭痛で、それほどお酒を飲まないとのことだったから、そのままお買い上げいただいた。
また、こまめな水分補給が養生になることを伝えた。
この場合の「こまめ」というのは、30~60分ごとに100ml程度の水分を摂取することである。
腸が一度に吸収できる量は案外と少なく、喉が渇いたときだけゴクゴクと飲んでも、吸収できない分は体内で使われること無く排泄されてしまうのだ。
そこで回数を分けて少しずつ飲み、吸収効率を上げる。
あと、体温より冷たいと腸は吸収できないから、常温の水のほうが良い。
もし手元に冷たい飲み物しか無い場合には、口の中に含んで噛むようにして温めながら少しずつ飲む。
お客様から胃もたれの相談を受け、痛みは無いそうだが、以前に病院で逆流性食道炎の痕跡があると指摘されたことはあるという。
実のところ、健康な人でも一日に約50回は胃液が逆流しているのが普通。
健康ならば、食道が荒れてもすぐに治るから気づかない。
つまり症状として現れるというのは、壊れる早さに治る早さが追いついていないということで、内臓の疲労、あるいは機能の低下が考えられる。
そこで、健胃剤の入っている『第一三共胃腸薬プラス』と『スクラート胃腸薬S』の他に、漢方薬の『ギャクリア』(六君子湯)を案内した。
しかし、今回は守りの『スクラート胃腸薬S』ではなく、胃酸の出過ぎを抑えることを希望され、『第一三共胃腸薬』をお買い上げいただいた。
ただ、胃もたれは腸が原因の可能性もあることを説明し、『タナベ胃腸薬ウルソ』も紹介した。
どういうことかというと、食べ物は胃で消化されると思われている人が多いが、胃は食べ物を「柔らかくする」のと「貯蔵」の方が主な機能で、本格的な消化は小腸で行なわれる。
そのため、腸の消化機能が低下していて消化が追いつかないと、胃の方へ食べ物を送ってこないよう指示して、胃は食べ物を上部に貯める構造だから、それを胃もたれと感じるのだ。
そういう時には、腸の機能を助ける薬のほうが役に立つ。
また、お客様には、水とお湯を飲み較べる鑑別方法を教えた。
水を飲むと冷たくて気持ち良いようだと胃炎を起こしているか、食道が荒れていると考えられるので、胃酸の出過ぎを抑えたり患部を保護する胃薬が適応する。
お湯を飲んでジンワリと気持ち良くなるようなら、温められて血行が良くなることが症状の改善につながるから、胃の機能を助ける健胃剤が必要である。
お客様から、成人の息子さんの霜焼けの相談を受け、病院で処方されるのと同じ物としてヘパリン類似物質の薬を案内してから、痒みなどがある場合にと『ヒビケア軟膏』を紹介したところ、痒いそうなので先に使ってから痒み止めの入っていない物への乗り換えを検討してみるよう勧めた。
本人は、ネットで何か飲み薬も調べたとのことだが内容は分からないというため、治るまでには1~2ヶ月はかかることをお話して、費用配分を考えるよう勧めた。
今回は『ヒビケア軟膏』をお買い上げいただき、息子さんは入浴時にマッサージをしているというので「良いこと」と伝えた。
また、塗り薬はローション(液剤)とクリーム剤と軟膏で使い分けがあることを説明した。
患部が広範囲な場合に塗り拡げるのに便利なのが液剤、バリア機能の高い皮膚へ浸透するように調整されているのがクリーム剤、患部が皮膚同士や服などと擦れないように絆創膏代わりに保護してくれるのが軟膏である。
お客様がお帰りになってから、飲み薬として『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介するのを忘れたのを思い出した。
息子さんがネットで調べたという飲み薬が漢方薬かは分からないけれど、血流を良くし水分代謝を改善しながら温めてくれるから、手足が冷える場合に頼りになる。