お客様が『パブロンゴールドA』を購入されるさいに、咳が激しいか尋ねると「そうでもない」というため、咳が無ければ他の選択もあることを伝えた。
多くの風邪薬に入っている咳止め成分は、大きく分けると麻薬系と覚醒剤系。
薬物依存や刑事事件などで問題となる両者は混同されがちだけど、作用としては相反する。
麻薬系は身体機能を低下させるので、身体をだるくさせるし、免疫力も弱めてしまい抵抗力を落とすうえ、体内が乾燥するので便秘を引き起こしたり、咳の原因にすらなってしまう。
いわば、この身体機能を低下させる作用を利用して、異物を吐き出すための防御機能である咳を止めるのが麻薬系の目的。
一方、覚醒剤系は身体機能のリミッターを解除し、興奮作用により元気になったと脳に錯覚させ、血圧が上昇するので心臓など各部に負担がかかって、体力を無駄に消耗させてしまう。
この作用を利用して、咳が出ている時に使う目的は、喉を開いて呼吸しやすくすることだけ。
呼吸が浅くて息苦しいのでなければ、不要ともいえる。
とにかく、咳がない状態で咳止め成分の入った総合風邪薬を使うと、デメリットしか享受できない。
もちろん、咳き込んで話さえできないとか眠れない、あるいは息苦しくてつらいといった場合には、それらによって体力を消耗する方が問題だから、使うべき時には使うのが良い。
でも、よく「コレを飲むと、すぐ元気になる」とか「すぐ治るから」という人がいるが、それは麻薬系で判断力が落ちて、覚醒剤系で元気になったと錯覚している可能性が高い。
お客様には、咳止めの他に、解熱鎮痛剤と鼻炎薬まで入っている総合風邪薬は豪華すぎて、ハエを叩くのにバズーカ砲を使うようなものだから自分の体も傷つけてしまうとお話してみたけれど、残念ながら反応は薄かった。
そもそもの主訴も教えてはもらえなかった。
お客様が、パッケージに「せき」と大きく書いてある『ルルアタックCX』をレジに持ってきたので咳が激しいのか確認してみると、「そんなことはない」とのことで、主訴は鼻水だというため鼻炎薬を提案したところ、大容量を希望され『パブロン鼻炎カプセルSα』をお買い上げいただいた。
ただ、鼻水がずいぶん長く続いているそうで、だから大容量を希望されたのだと思われる。
内臓の冷えが原因の可能性をお話すると「そうかも」とのことで、シャワーで過ごしてるというため浴び方を教えた。
ついシャワーを頭からとか体の前側から浴びて、背中はサッと流すだけになりがちだけれど、重要なのは太い血管と太い神経の通った背中側である。
髪や体を洗っている間に、背中に少しでも長く浴びることにより、血流が良くなって内蔵まで温まって、神経へのマッサージ効果でリラックスもする。
ただ、湯船に入れるのであれば、薬を飲まずとも鼻水は収まる可能性が高い。
実のところ、現代薬の鼻炎薬も成分の種類が多く豪華すぎで、副作用によって血圧を上昇させたり体内を乾燥させて便秘や咳の原因になるリスクが高いから、使用を控えるのに越したことは無い。
お客様が『冷えピタ』を購入されるさいにヒアリングすると、家族が37.5度の発熱をしているというため、38度を超えるようであれば氷枕をと勧めた。
『冷えピタ』は気化熱を利用しており、冷たくは感じるものの冷蔵庫のように電気でも利用して継続的に冷やす仕組みにでもしなければ、実際には冷やすことはできないと説明したところ驚かれ、『熱さまシート』はどうかと訊かれたため、「同じです」と答えた。
また、悪寒がしている間は、氷枕や解熱剤で冷やすのはまだ早いとも伝えた。
悪寒は、これから風邪などと戦う準備を整えているところで、大きくジャンプしようとしゃがんだところを蹴り倒すようなもんである。
お客様は急いでる様子だったため、養生などについてはお話できなかった。
発熱時の養生法の基本は、まず「頭寒足熱」である。
頭を冷やして足を温めるという意味だが、この場合の足には「お腹周り」も含まれる。
体温調整のセンサーや、免疫反応の指示を担っているのが腸だからで、お腹周りが温かいほうが正常に機能する。
なので、よほど消耗しているか起きるのもつらいという状態でなければ、お風呂に入ってしまった方が自身で熱を出してエネルギーを消耗するのを防げる。
そして、食べ物を消化するのにもエネルギーが必要で、治す方にエネルギーを回すためには、無理に栄養を摂ろうとするより、水分と塩分と糖分を補給するだけで良いから、ほとんど具の入っていないインスタント味噌汁やスープで過ごす。
ゼリー飲料も悪くはないものの、「頭寒足熱」から考えると冷たいのは好ましくないので、常温で飲むのが良いだろう。
ただ、本格的に発熱してきたら冷たい物を飲んでリラックスするのも良いから、量を控えめにするよう気をつければ、栄養補給のうえでも有益である。