デリケートな目に使う目薬選びは慎重に

 高齢のお客様に、医薬部外品のドリンク剤の中から胃もたれに効く物をと求められたけれど、以前に案内して購入していただいたことのある『ヒストミンゴールド液プラス』の方が良いとお話して、そちらの売り場を案内した。
 ただ、3本入りでお得とはいえ予算の都合があるのかと思い、医薬品の方が効果が期待できることを改めて説明し、『液キャベ』と『ハリー胃腸薬』を紹介したところ、後者をお買い上げいただいた。
 実は息子さんからは『リポビタンD』が1ケース50本入りを送られてきて、奥さんと毎日飲んでいるというため、日を空けるよう勧めた。
 タウリン自体は人間の身体に元々あり、疲労の回復に外から補給する必要があるかは分からないのが現状だし、カフェインによる身体への負担のほうが心配である。
 お客様自身は『リポビタンD』を飲んでいると苦く感じるので、好きではないとの話だった。
 息子さんも、親孝行で送る物は良く考えてもらいたい。

 

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タウリンの性質

 

 お客様が目薬の棚で長考されているようだったため案内を申し出ると、『スマイル40EX』と『ロートビタ40α』比較しており、スマホの見過ぎで目がシバシバするというため、価格は効き目と直接的な関係は無いことを伝えたうえで、目の疲労を取るビタミンB6と、材料になるビタミンAに、栄養を運ぶビタミンEが入っている両者は、どちらを選んでも良いと説明した。
 病院で処方される物として、神経の働きを助けるビタミンB12の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を紹介してみたけれど関心を示されず、スッキリしたいというため『スマイル40EXクール』を勧めたのの無視されたことから、予算の都合があるかと思い『スマイル40EX』を勧めたところ、お買い上げとなった。
 目薬の点し方と、目の周囲を温める養生法を教えた。
 効果的に目薬を使うためには、少しでも長く目に留めておくこと。
 なにしろ目はデリケートな部位でもあるため、異物を追い出す防御機能が優れていて、瞬きをすれば睫毛に薬剤を絡め取り、顔を起こしていれば前からは涙で、目の裏側からは鼻腔を通って喉へと流し、やがて体外に排出される。
 そこで目薬を点したら、静かに目を閉じ少し下を向いたまま最低でも1分、できれば5分は閉じたままにしておくのが効果的。
 また、老廃物を回収して栄養を運ぶのは血液なので、目の細い血管を開くことが養生となるから、お湯に浸したタオルやホットアイマスクなどを使うと目薬だけに頼るより良い。

 若いお客様から目薬の場所を尋ねられ売り場を案内すると『ロートジーb』を購入されるので、今までも使っていたのか確認したところ、ずいぶん長く使ってるようだったため充血を取り除く仕組みと長期連用によるリスクを説明した。
 充血を取り除くとされる塩酸テトラヒドロゾリンがやってるのは、目の細い血管を締め上げて血液が通りにくくすること。
 血液が通れにくくなるから充血が目立たなくなるというだけの話で、長期的に繰り返し使っていると、ただでさえ細い目の血管が固くなる可能性があり、そうなると老廃物の回収がされず目が疲れやすくなり、修復する材料も届かなくなるため、良いことは無い。
 お客様は驚いた様子だったものの、レシートを置いていかれるので、副作用が出て治療が必要になった場合に『医薬品副作用被害救済制度』を利用するのに無くてはならないことをお話して、レシートを渡した。
 リスクのある使い方をしておいて、レシートも置いて行くとは、何とも怖いもの知らずなことである。
「薬はリスク」と承知しておいてほしい。

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