薬が効くかどうかは身体との相性があるし、正しく使っているかどうかも関係します

 若いお客様から膝用のサポーターの相談を受け、仕事で長時間膝を床に付いているため、立つ時の痛みを緩和したいとのことだった。
 しかし、うちのお店にあるのは厚みの無い物ばかりなので、スポーツ用品のあるお店を訪ねてみるよう勧めたのだけれど、『バンテリン膝用サポーター』を2個購入された。
 お役に立てず、申し訳なし。
 ドラッグストアーでは、どうしても通気性の良い薄いタイプのサポーターがメインだからねぇ。

 お客様から相談を受けた腰痛は3日くらい前からで、腰を捻ると痛むとのことだったが、すでに『ボルタレンゲル』を使っていると分かった。
 ジクロフェナクナトリウム製剤だから、市販されている痛み止めの塗り薬としてはダントツの鎮痛効果の高さだし、成分が血液中に入っていくくらい浸透力がある。
 その浸透力ゆえに、腎臓などの循環器系に疾患のある人や、高血圧の人が使うのには注意が必要なくらい。
 ところがお客様は、1日に2回しか塗っていないというため、持ち歩いてトイレに入った時などにも塗って1日に3~4回の使用を勧めた。
 浸透力があっても、塗る回数が少なければ効果も少なくなろうというもの。
 飲み薬も相談されたものの、家に『バファリンA』があるのにまだ試していないというため、まず使ってみてから次の手を考えましょうとお話してお帰りになった。
 アスピリン製剤は末梢神経での痛みの伝達物質の生成を抑えるのには優れているとはいえ、中枢神経への働きかけが弱いため腰痛だと期待する効果は得られないかもしれないが、薬は強ければ良いというものでもないから、まず試してみる。
 そして合わなければ、次の候補を探す地道な選定作業が必要になるのが常で、最初から「一番効く薬を」というのが、どだい無理な話。
 人間の身体は機械ではないから、効くかどうかは薬との相性があるし、今回のように鎮痛効果が高く浸透力のある薬を使っていても、その使い方が正しくなければ効果を得られないケースもあるし。

 お客様が、外用消炎剤の棚で弱めの薬と強い薬とを交互に見較べていたので声をかけたところ、ご主人が膝と肩の痛みを訴えていて、知人に病院から処方された湿布薬を使い、それが何か分からないというため、そもそもそういう薬の使い方は危ないということと、成分によって鎮痛効果と浸透力が異なることを説明した。
 できれば、渡した知人の方を正座させて小一時間説教したいヽ(`Д´)ノプンプン
 とりあえず、外用消炎剤や皮膚の炎症を抑える薬は、弱い薬をダラダラと長く使うより、最初に強めの薬を使って症状が和らぐのに従って段階的に弱い薬へと乗り換えていくステップダウン方式が望ましいことをお話して、ロキソプロフェン製剤の『ロキプロファインLXテープ』をお買い上げいただいた。
 そして、症状が軽減しない場合に備えて、先に「この日までに良くならなかったら病院に行く」という期限の日を決めておくよう勧めた。
「いつか行こう」は、絶対に病院に行かないので。

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