若いお客様から『ロキソニン』を求められ、置いていないと分かると踵を返されたが、効果時間が短いことを伝えると立ち止まっていただけたので、化学構造式が似ていて効果時間が約1.5倍長いイブプロフェン製剤の『イブ』を紹介したところ、『バファリンA』にも興味を持たれた。
しかし親知らずを抜いたと分かり、病院では血液をサラサラする目的で使われることもあるアスピリン製剤の『バファリンA』は避けたほうが良いとお話した。
アスピリン製剤は末梢神経の炎症を抑えるのが得意でもあるため、血流を良くする作用も併せて考えると、肩こりと連動した緊張型頭痛に適している。
お客様には、ハリウッド映画の主人公が怪我した時によく使ってるのと同じ薬ですと教えたらウケた模様。
胃を痛めやすく、『バファリンA』には胃を保護する成分が入っているものの、映画のシーンなんかじゃ錠数を数えずに飲んでるけど、単味剤でも大丈夫なんだろうか……。
そして今回は、イブプロフェンに系統の違うアセトアミノフェンという2種類の鎮痛成分を合わせた『バファリンルナi』も紹介したところ、お買い上げいただいた。
鎮痛剤にも性格があるので、用途や症状を伝えていただくと選ぶ参考になることを伝えた。
お客様から『カロナール』を求められ、同じアセトアミノフェン製剤の『タイレノールA』を案内し、炎症には弱いことを伝えるとイヤホンマイクで奥さんと通話しながらだったらしく、乳腺炎だと分かった。
そして『ロキソニン』を尋ねられ、効果は高いものの持続時間が短いのでイブプロフェン製剤の『イブ』の方が良いのではと説明した。
しかし、よくよく考えたみたら授乳中なのではないかと思い尋ねてみると、やはりその通りで、病院でも『カロナール』を処方されたそうなので『タイレノール』をお買い上げいただいた。
患者本人と通話しながらなら、むしろ直接お話させてもらいたいところ。
同じ成分とはいえ、医療用の『カロナール』をそのまま店頭で指名買いしようとされるのでは心配。
入浴はしているそうなので、内臓を温めるのは大事なことですとお話すると、「冷たい物は駄目なんですね」とご理解いただけた。
理由は2つあって、細菌感染などの場合は体温を高めることが免疫力を高めることにもなり、もう一つの理由は身体は炎症をすることにより血流を良くして老廃物の回収と患部の修復のための材料を運びやすくするから、冷たい物を飲んだりすると抵抗しようとした身体が余計に炎症を強めてしまう。
入浴して、服装も下半身を厚着すれば、身体は無理に炎症をしなくても大丈夫ということを学習してくれる。
お客様から、ものすごい勢いで『ロキソニン』があるか尋ねられ、置いていないことと、周辺の他のお店も薬剤師が帰ってしまってることを説明し、イブプロフェン製剤を提案したところ、高校生の子供が歯列矯正の痛みに使うというため、なおさら効き目が長いイブプロフェンの方が適していることをお話した。
病院で処方された『カロナール』は効かなかったというお話もあり、『バファリンルナi』を紹介すると、胃に優しい物をと要望されたので、鎮痛剤が胃に悪いというのは誤解があることを説明した。
確かにアスピリン製剤のように成分そのものが胃に負担をかけてしまう薬もあるが、そもそも痛みを伝達するホルモンが胃の保護も兼ねているため、痛みの信号を止めると胃を守る信号も一緒に止まってしまうから、どのみち鎮痛剤を使ったら胃に優しい食事にした方が良いとお話した。
『バファリンルナi』をお買い上げいただいたのだけれど、他の店では「教えてくれなかった!」「薬剤師がいないから売れない!」としか言われなかったと、ご立腹の様子だった。
うん……、最初のあの勢いで『ロキソニン』があるかを尋ねられたら、話を聞いてもらえると思えないもの……(;^ω^)
薬を指名するより、目的を伝えるように勧めると、急に落ち着いてお礼を言われた。
お客様が帰りぎわになって、女子高生が現れて、どうやら患者本人のようだった。
離れたところにポツンと立ってたので、他人と思ってしまった。
ううむ、本人にお話したかった。
いや、女子高生とお話したかったというのではなく、やはり薬を使う本人でなければ分からない症状の状況とかもあるし、伝言ゲームになるよりは本人に直接ヒアリングできた方が良い。