若いお客様から舌炎の相談をされ、塗り薬でも飲み薬でもとのことだったので、トラフル錠は風邪の喉の痛みにも使えると紹介し、痛みが強いということからステロイド剤の『オルテクサー軟膏』と『口内炎軟膏大正クイックケア』を案内したところ、後者を購入された。
ちなみに、舌炎は舌の炎症の総称で口内炎の一種なのだが、口内炎の薬の中には効能書きに「舌炎」まで書いてある製品と書いていない製品もあるため、店頭で自分で選んでいると迷うケースも。
迷ったら、というか今回のように最初から相談してもらうのが良いだろう。
お客様はシャワーで過ごしているということだったけれど、お風呂は入ろうと思えば入れるというため、それが一番とお話して、もしシャワーで済ませるのであれば太い血管の通っている背中側に長く浴びる方法を教えた。
髪や体を洗っている間は、ずっとシャワーに背中を向けておくのだ。
ただ、湯船に入るのが一番である。
いったん帰られたお客様が、傘を置き忘れて戻って来られたので、冷たい飲み物に気をつけるよう伝えた。
口内炎の時には冷たい物を飲むと気持ち良いものの、それが罠となる。
身体の方には患部を炎症させたい理由があって、免疫力を高めたり、壊れた細胞を修復する材料を運ぶ血流を活性化させるため。
だから患部を冷やしてしまうと、身体の方は「もっと炎症させなきゃ」と頑張ってしまうんである。
患部にしみない程度に温かいか常温の物を飲み、身体の防衛機構の司令塔となる腸のあるお腹周りを温めるのが、早く改善させるための養生法なのだ。
若お客様が外用消炎剤の棚の前で長考しており、スマホも見ていたため、なかなか声をかけるタイミングが掴めなかった。
ようやくヒアリングできて打撲だと分かったので、強い薬を最初に使い短期決戦に持ち込むのが得策とお話した。
弱い薬をダラダラと長く使うよりも、強い薬から使い始めて、症状が軽減するのに従って弱い薬に乗り換えていくステップダウン方式が望ましい。
お客様が打撲したのは今日というため、鎮痛効果が高く浸透力にも優れたジクロフェナクトリウム製剤を勧めたところ、『ボルタレンEXテープ』をお買い上げいただいた。
ただし、浸透力に優れすぎて成分が血液中にまで入っていくので、持病や他に使っている薬がある人は注意しなければならないし、日光皮膚炎を起こしやすいため日除け対策が必要となる。
お客様は、患部を冷やしていないそうなので、『ボルタレンEXテープ』を使う前に患部を氷水で冷やすよう勧めた。
よく湿布の冷感や温感のどちらにするか迷う人がいるが、あくまで「感じる」だけなので、冷やすか温めるかすると楽になるようならば、いっそ本当に氷水で冷やすかカイロで温めるほうが良い。
そして、打撲や捻挫などにおいては、患部で痛みの伝達物質が急速かつ大量に生産され、それが痛みを長引かせる原因となるので、生産能力をガタ落ちさせるために、氷水で患部の身体機能そのものを低下させるのが、予後を良好にする鍵なのだ。
もし出先でなったのなら、薬を買うよりも先にコンビニなどで氷を買って患部を冷やすのが良い。
お客様には、家で氷を作っていないかもしれないので、必要でしたら食品売り場から用意しますと申し出たけれど、大丈夫とのことだった。
先の口内炎もそうだが、冷やすか温めるか迷ったら、最初期には冷やして回復期には温めるのが基本。
また、漢方的には昔から「頭寒足熱」と云われていて、この「足」には「お腹」が含まれ、頭脳は冷やして熱を持たないようにする一方で、身体機能は温めるほうが活性化する。
やや高齢のお客様から歯痛の相談を受け、患者は家族で、歯医者の予約はしてあるそうで一晩だけ使いたいと相談された。
本人は「キツイのを」と注文しているそうだが、血圧を下げる降圧剤を例に、強弱よりも体内でやってることが大事と説明し、イブプロフェン製剤の『イブ』とアスピリン製剤の『バファリンA』を提示した。
血圧を下げる降圧剤を使っている患者さんの中には、どの薬を使っているか尋ねると「普通の血圧の薬」と答えられることが多いけれど、血管を拡張しているのと、血液をサラサラにしているのとでは、やっていることが違い、注意点も異なるのだ。
鎮痛剤としては『イブ』の方が中枢神経を抑えながら末梢神経の炎症も抑えるので優れていると言えるものの、歯痛や肩こり等なら末梢神経の炎症を抑えるだけでも効果的なため『バファリンA』を勧め、お買い上げいただいた。
ただし、アスピリン製剤は病院では血液をサラサラにする目的で使うこともあり、抜歯後に使うと出血が止まらなくなってしまうため、そういうときの歯痛には向かない。
お客様には、必要であれば、飛び込みで診てもらえる近くの歯科医院を紹介しますと伝えた。